本からはじまる物語
著者:阿刀田高、有栖川有栖、いしいしんじ、石田衣良、市川拓司、今江祥智、内海隆一郎、恩田陸、篠田節子、柴崎友香、朱川湊人、大道珠貴、梨木香歩、二階堂黎人、本多孝好、三崎亜記、山崎洋子、山本一力
発行:メディアパル
ISBN:978-4-89610-090-7
価格:¥1,365(税込)
発行:メディアパル
ISBN:978-4-89610-090-7
価格:¥1,365(税込)
本屋に入って文芸書のコーナーへ。ざっと平積みの本を眺めたあとは、書棚に並ぶ題名を目で追い、気になるものがあったら手に取って装丁を見る。帯の文句で内容を確認し、グッときたら1頁目を開いて数行読んでみる(ちなみに、書き出しのおもしろいものにハズレ無し!が私の信条です)。直感的に好きか嫌いかをひたすら繰り返すこの行為、不思議と子どものころの感覚を思い出します。
この本は、その人ひとりでも十分に売り上げがありそうな18人の作家たちが、「本屋」が題材であることだけをルールに、各人の切り口と持ち味で競演している贅沢な一冊です。
ファンタジーあり、時代ものあり、恋愛ものありの多様さで、それぞれ一編が10頁前後。通常の短編よりもかなり短くて気軽に読めますが、1話終えるとすぐに次の作家が気になって、結局は頁をめくり続けてしまいます。
読み終えてしみじみ感じるのは、著者たちの本や本屋に対する愛情。「本離れ」が危惧される昨今ですが、こんな思いに触れるたび、けして廃れることもないだろうと楽観的な気持ちになります。
本屋はなぜか落ち着く場所です。それは子どもだった頃でさえ、それは異国を旅しているときでさえも。改めて周りの人に、それぞれがもっている本屋にまつわる思い出や、本に対するこだわりを聞いてみるのもおもしろそうですね。(byまめたま)