「いい人」をやめると楽になる
あれから時は過ぎ、先日ようやくこのとっておきのフレーズを使う絶好の機会を得ました。満を持して口に出してみましたが…残念なことに言葉が相手に届いた様子はありません。「なぜだろ?」と考えてみてすぐに納得。あれから十数年経ったところで人の基本的な性格なんて変わっておらず、そんな私が言ったところでなんの説得力もなかったわけです。
この本は、例えば「性悪説のすすめ」だとか「許すということ」といった題目に沿って、著者が自らの過去の作品群の中から抜粋した文章がいくつも並べられています。
「実はいい人の反対は悪い人、と思う図式は単純思考の現われである。日本人は勉強家で優秀な人が多いのに、考え方が幼児化するのは、黒か白かでものごとを片づけ、その中間の膨大な灰色のゾーンに人間性を見つけて心を惹かれるということがないからかもしれない」というまえがきに興味を引かれて読み始めたのですが、読み進むうちに、この本につけられた題名の意味がじんわりと響いてきました。
いわゆる『いい人』をやめると楽になるのは自分だけではないようですね。とりあえず私は「いいこと言おう」なんて浅はかな考えをもつのはやめにするところから始めるとしようかな。(byまめたま)