セックスボランティア
そもそも障害者は、パラリンピックのように、わかりやすく美しい話が強調されがちだ。障害をもたない人々にとって、子どものように美しい心をもっていることと、性の話は矛盾するものなのだろう。
かくいう私も、「障害者の性を想像する」、そんなことにはまったく興味がなかったし、そもそもそんなことに考えが及ばなかった。
本書の著者はこれまでタブーとされてきた「障害者の性」の取材に挑み、閉ざされていた問題に大胆に切り込んでいく。
24時間酸素ボンベにつながれていないと生を保てないほど重度の障害をもつ老人がいる。彼は、死んでしまうかもしれないリスクをも跳ね除け、風俗店へ行き、酸素ボンベを外してサービスを受ける。まさに命がけのセックス。「壮絶」、その一言に尽きる。命をかけても、その老人がそうする理由は……ぜひ本書でご確認を。
取材していくうちに、自身の性とも向き合うことを迫られる著者。困惑と疑問、自分のもつ倫理観との葛藤のなかで、著者自身が変わっていく過程も読みどころ。あなたも衝撃の真実に打たれてください。(byめめんともり)