神様がくれた弱さとほほえみ
そう簡単に言ってしまうと表面的になってしまいますが、本書を読むと、改めて家族の存在というものの大きさを感じます。
西村隆さんは、働き盛りの37歳の時にALS(筋萎縮性側索硬化症)を発病しました。ALSとは、重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす進行性の難病で、進行とともに身体の自由がきかなくなり、話すことも食べることも、呼吸をすることも困難になります。原因や治療法はいまだ解明されていません。
そんなALSと闘う西村さんですが、本書からは決して悲壮感は漂ってきません。
もちろん、突然の思わぬ発病は西村さんからさまざまなものを奪い、私たちには想像もできないほどの大きな心の葛藤があったでしょう。それでも、それらを越えて、西村さんが私たちに伝えてくれるのは、現状を受け入れ、前向きに生きていく力強さ。そして家族への愛情。特に、本書の中で随所に見られる家族に対するメッセージには、心を打たれる響きがあります。
サブタイトルにあるとおり、本書は20編の小さな物語で構成されています。それらを感じて、やさしい気持ちになってみませんか。(byこりん)