西の魔女が死んだ
さて、本書は学校に足が向かなくなった少女まいが、自然のなかに暮らす祖母(西の魔女)のもとで過ごした初夏のひとときの物語。人間関係やライフスタイル、死などいくつかのテーマが織りなされて綴られていきます。
「シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、だれがシロクマを責めますか」
西の魔女がまいを諭すように話したこの台詞を読んだとき、思わず「う〜ん」と考えさせられました。その通りです。シロクマの意思について、その決意を周りがどうこう言えるものではないし、シロクマの人生(クマ生?)の責任を取るのは誰がなんと言おうがシロクマ自身。究極的にはシロクマの意思を尊重するべきなのでしょう。それは生き方だけでなく死も同じことで、自分自身のものです。
でも、人間は社会のなかで生きる動物。周りの人の介在無しには生きられませんし、周りの人の支えがあるからこそ生活できる側面もあります。自己決定することの大切さをわかってはいても、実際には周りを気にしたりしてなかなか難しいものですよね。
それでも、一生懸命生きている登場人物をみて、自分の意志を強く持つことを、生や死を考え続けることを手放してはいけないなぁと改めて思いました。(byかーぺっと)