冷蔵庫のうえの人生
「牛乳、リンゴ、ピーターのニンジンとラビットフード…買っておいて下さい。お金はカウンターの上に置きました。鍵をもって出るの、忘れないで。」
「今日はエマのところに泊まるね。仕事、あんまり無理しないで」。
そんなやりとりから浮かび上がる、聡明な母と、しっかり者の娘の姿。そして、同時に二人は少しの寂しさと、無理を抱えていそうです。
ある日、母からのメモ書きに「話したいことがあるの。」の言葉。ただ、青春真っ盛りの娘には、友達、学校、アルバイト、と他に優先事項がいっぱいで、どうやら初めてのボーイフレンドもできたようです。
15歳、大人と子どもの間を行き来きする年頃。母の病気は心配。でもやっぱり彼にも会いに行きたい。未熟な相手、幼稚な恋ではあっても。見守る母も葛藤します。
やがて、病状が悪化した母からの、こんなメモ書きがあります。
「私はいい母親だったかしら?
これは、母親ならだれでも一度は聞いてみたい質問。もっとも、聞くチャンスはめったにない。あるいは聞く勇気がないのかもしれない。」
そうか、母親はこんなことを思うのか。ならば、大人になったいま、何度でも言いましょう。「お母さんの子でよかった」と。(byまめたま)