この顔でよかった
でも、そのコンプレックスや悩みを自分の個性と受け止める。決して簡単なことではありませんが、そんな強さがあれば、自分自身を、そして周囲の人たちをも変える力になる。
そんなことを教えてくれるのが本書です。
著者・藤井輝明さんは、小さい頃から海綿状血管腫という病気により、顔の右側が腫れています。幼少時代、その姿を見た同級生からいじめのターゲットとされました。「化け物」とはやしたてられたり、「気持ち悪い」と言われたり……。見ず知らずの人から好奇の眼差しで見られることもごく当たり前にあったし、就職試験を受けた際には、成績は優秀で学校推薦があったにもかかわらず50社から不採用になりました。
それにもかかわらず、藤井さんは「病気をもっていたからこそ、多くの人と知り合い、病気の人の気持ちがよく分かるようになった」「血管腫は自分の先生であり、師匠でもある」と語ります。見方を変えれば、短所は長所になる。そうしたことを身をもって教えてくれます。
本書は、藤井さんの気持ちが率直に述べられており、心に響く言葉があふれています。さまざまな困難を乗り越えてきた藤井さんの言葉は、深いやさしさに包まれています。すべての漢字にふりがながふってあるので、小学生でも十分に理解できるでしょう。今まさにいじめをしている子どもたちにも、是非とも読んでもらいたい一冊です。
そのやさしさが読んだ人にも伝わるはずだから。(byこりん)