家族の練習問題
子どもを思い、愛してきた。しかし、その愛が子どもを苦しめ、成長を阻害してしまったとしたら……。しかし、それは純粋に親の愛から行ったこと。それでは、子どもが悪いのか、いやいや親が悪いのか……。では誰のせい? いつまでたっても答えはでない。それじゃあ、どうしたら……?
そんな家族の練習問題が16話おさめられている。立ち止まり、自問自答して、ハッと気づいたり……。考える時間を含めて一話10分。親は親の立場で、子は子の立場で、夫は夫の立場で、妻は妻の立場で、必ずや学ぶことがあるドリルである。
著者は、児童や障害者を中心に、30年以上カウンセリング活動に携わってきた心理の専門家。加えて大学教授や漫画家という肩書きももつ。本書のイラストも著者自身の手による。どうりで絶妙のイラストだと納得する。
練習問題の合間に登場する、沢木耕太郎や大林宣彦といった著名人のエッセイもよい小気味いいバランスで息抜きをさせてくれる。
そうだ。今日こそは息子に聞いてみよう。「学校は楽しいか?」と。そんな気持ちにさせてくれる1冊。(byてらこ)