ルリユールおじさん
子どもにもわかってほしいおとなの世界。
それらをつなぐのは、きっとこんな絵本なのかもしれません。
子どもなりの理由やこだわりを、ルリユールおじさんはそのままきちんと理解し、おだやかなまなざしで受け止めます。
そして、もてる智慧(ここでは「ルリユール」という古来の製本技術)を通して、子どもの思いをかたちにしていく。
これは、おとなと子どもが「世界」を一つにする、最高のやり方ではないでしょうか。この時点で子どもは、単なる庇護される存在でなくなり、一人の人間としておとなと向き合うことになります。
こうした、「このおとなは自分をちゃんとわかってくれた、尊重してくれた」という経験は、彼女/彼自身がおとなになったときに、とても大きな意味をなします。
ルリユールおじさん自身も、その教えを受けておとなになったからこそ、子どもに伝えることができるのです。
いま、「子どもが変わった」「子どもが怖い」…などと言いますが、それは、子どもの世界を理解しないままおとなの世界を押しつけてきた帰結なのだと思います。
まさに、コドモ扱い。
そろそろ私たちからやめてみませんか?(byこゆき)