マドンナ
営業三課課長、荻野春彦42歳。結婚15年目、子どもあり。6月の定期異動でやってきた入社4年目の倉田知美にあっさり心を奪われ、日に日に重度の片思いに落ちていきます。
手を出す勇気もないくせに、なんとか二人きりになろうと仕事を算段し、若手のライバルが彼女と同時期に夏期休暇を取ろうものならイライラ、ソワソワ。「新宿の母」に相談しようと思ってみたり、果ては玉砕覚悟で告白しようとしたり。
今回、年齢的な親近感から、妻の立場で読んでみました。歴然たる浮気とは違うとはいえ、純粋な(=子どもじみて、盲目的な)恋に落ちた亭主の帰還を、果たして冷静に待てるものかと。小説の中の妻は、そしらぬ顔で部下たちを自宅に招いては、その夜そっと亭主に釘を刺し、結局は本命の登場でふられ気分の亭主に、「さては倉田さんにふられたな」と優しく?受け入れます。
でも、これって案外夫婦の正念場なんではないでしょうかね? いわゆる「心の浮気」で、実際に離婚してしまうケースは少ないと思いますが、それまでの夫婦関係如何によってはこれが決定打となって、家庭内別居ならぬ「心理的離婚」を密かに決意する妻(夫の場合もありますね)はいるのではないでしょうか。
くれぐれも、その火傷、たかが「心の浮気」と軽くみられませんように。加えて、度の過ぎた想いは「セクハラ」とも受け止められかねませんのでご用心を!(byまめたま)