小さな骨の動物園
そして、「骨のある」「骨身を削る」などと多くの慣用句にも用いられているように、表には見えなくても、心身を支える本質みたいなもの。
「骨」ってそういう存在のような気がします。
ところが、体の外に取り出して、空気にさらした途端、イメージが変わります。
「不気味」「コワイ」とか、「骨といえば恐竜」という人もあれば、「合理的なデザイン」という人もいるでしょう。現在の日本では、目に触れにくくなってしまった物だけに、好きずきがあると思います。
この本は、さまざまな動物の骨格標本の写真を並べた本です。
多少、気味が悪いと感じてしまうのをちょっとこらえて、いくつかの骨を見比べてみると、似たような動物であっても種類によって違いが見えてきて、その生きものが「生きている」様子が見えてくることも…。
例えば、モグラ。ご存じの通り、前足で土を掘って掻き分ける生きものです。骨格標本を見ると気づくのですが、後ろ足の骨よりも前足の骨の方が太く丈夫そうです。他の動物はたいがい後ろ足が太いですから、いかにモグラが個性的かが見えてきます。
そして、同じ鳥類でも、ペンギンの骨とその他の鳥の骨を見比べてみると、飛ぶこと重視と泳ぐこと重視でこんなに形が変わるのかと不思議に思えます。
骨格に暮らしぶりが出てくるということは、一人ひとりのライフスタイルが多様な人間は、他の動物に比べてより個体差が大きいのかも知れないな、などということを考えてしまいました。(byまっと)