ともだち
楽しそうにしている人を見ると、親しくなりたいと思います。そばにいると、幸せを分けてもらえる気がするからです。
写真家の長倉洋海さんは、世界の紛争地を飛び回り、少年や少女の姿を写真におさめています。彼の写真集『ともだち Dear Friend』には、子どもたちのたくさんの笑顔があります。
彼らが生活する社会は、必ずしも安心して生活できる場所というわけではありません。紛争があり、いのちを奪われる恐怖があり、家族の死があり、ひどい飢えがあります。しかし、なぜかこの写真集には笑顔があふれています。
小さな弟を抱きかかえて微笑む少女、楽しそうに洗濯をする女の子、友だちと抱きあってはしゃぐ男の子。
彼らの笑顔から、強くてしなやかな精神を教わるのです。
友だちの、家族の、自分のいのちが危険にさらされる社会で生きる彼らは、自分がこの世界でたった1人のかけがえのない存在で、生きているだけで素晴らしいのだと毎日実感しているのかもしれません。
写真は、その一瞬を切り取って見る人に訴えます。もしかすると彼らの笑顔は、一瞬の出来事だったかもしれません。1日のほとんどを、つらいと言って泣いて過ごしているかもしれません。
しかし、彼らと数日間を過ごした長倉さんは、笑顔を切り取りました。彼らは彼らの、私は私の命を精一杯に生きる。それ以外にできることも、それ以上に価値のあることもないと、そう訴えているのかもしれません。(byおいどん)