君を失って、言葉が生まれた
毎日、そこに居て、健康で、愛してくれて、面白いことを言って、励ましてくれて、時にはわがままも言って、喧嘩もして、でも、一番の応援者でいてくれる。
大切な人だということはわかっていても、そこに居るのが当たり前だから、特別やさしくもしないし、かわいらしく振る舞うこともない。いろいろお願いされても、なんだかんだ言って受け流していた。だって、今は忙しいから。また、今度ねって。
そんなこと、皆さんにもあるのではないでしょうか。
別に悪気なんてありません。
だって、今度がないなんて、夢にも思わなかったから。
友人や恋人、親や夫婦であっても、一緒に居る時間が長くなればなるほど、大切な人なのに、居るのが当たり前になって、その存在の重みを忘れてしまいがちです。でも、彼/彼女が自分の側にいて、元気で笑っていてくれることは、とても尊いことなのです。それを思い出させてくれる1冊でした。
本書は、末期がんの妻に寄り添った夫の心情を、イラストと共に表現した詩画集です。
妻は自らの命が消えようとするその時にも、夫を気づかい、心配かけまいとします。そんな妻の深い愛に「ぼく(夫)」が本当の意味で気づいたときには、妻はもう側にいませんでした。
こんな大きな愛を残して旅立ってしまった人を、どう消化すればいいのでしょうか。私にはわかりません。
ただ、私はこの本から今、私の側にいる愛する人に、きちんと向きあって、愛を愛で返してあげたい。そして、そうできることがいかに幸せなことかを教えてもらいました。(byてらこ)