認知症が進んだら、どんな日常を送るのかしら? …本人はもとより、介護をする人も漠然とした不安に駆られると思います。「認知症」という病気や症状について詳しく書かれている本を読んでみても、生活のなかのふとした場面でのサポートについてまでは言及されていません。
この本は、そうした日常生活のなかでみられるさまざまな場面を想定し、介護をする人ができるサポート例を提案しています。
面白いのは100近い事例の数々。そのほとんどが執筆陣の経験からあふれ出たヒント集となっています。
たとえば、入浴剤をきっかけにお風呂に楽しく入ることができるようになった「全国名湯めぐり」。ここでは、お風呂好きだったのに「垢では死なん」と言うようになったYさんに対して謀った一計が光ります。
また、株取引を長いことやってらしたRさんが、広告チラシを株券の大きさに切って大事に大事にとってある事例。ヘルパーのRさんへの気持ちが表れた対応が紹介されています。いい笑顔で株券を眺めるRさんのイラストをみて、こちらもあったかい気持ちになります。
ふと心が弱ったとき、ぜひ手に取ってみてください。「これでいいんだ」「こうすればいいんだ」と、不思議と肩の力が抜けると思います。
認知症が進んでも、できることがある。
サポートするあなたが、できることがある。
この本は全編を通してそのメッセージを発信しています。(byこゆき)