勇気が出る介護の本
介護には教科書がありません。それは人によって生活のスタイルが異なるため、支援の方法が変わってくるからです。
たとえ親と子であっても、価値観や習慣、生活リズムなど多くの面で異なる部分があります。それゆえ、子どもが成長していく過程の中で、さまざまなぶつかり合いがあり、お互いに激しい感情を抱き合うこともあるのでしょう。
時が流れると、立場が変わり、子が親を介護する場面が訪れます。すると、思い通りにいかないことで苛立ち、悩み、憎しみから虐待にまで発展してしまうケースも少なくありません。実の親子ですらこうした状況ですから、義理の親を介護するとなれば、なおさらその思いは強くなることが考えられます。
それでも日々は過ぎ、介護する生活からは逃れられません。マイナスの感情ばかりが先行していては、介護という長い道のりを乗り切ることは難しいでしょう。
では、介護者はどのような心構えをもっていればよいのでしょうか。
羽成さんは本書の中で、「介護とは、介護される人の人生を受け入れることである。さらに言うなら、価値観、習慣、言葉、においなどを受け入れることである」と述べています。さらに、それは生易しいことではなく、命懸けの行為であるということも…。
本書では、「介護される人の人生を受け入れること」を実践していくためにはどうすればよいのか、介護者の視点からとても分かりやすく展開されています。
自分らしく生きるヒントが見つかり、介護に立ち向かう勇気が得られるでしょう。
5人の身内を介護した経験のある羽成さんだからこそ、贈られるメッセージは心の奥底に深く響きます。
心を軽くするために、介護する人にとってはぜひとも読んでおきたい一冊です。(byこりん)