がん闘病とコメディカル
ちょっと大きめの病院で診察待ちをしているとき(大概、廊下の壁沿いに並べられた長いすでずいぶんと待たされたりしますが…)、患者である私たちの前を、病院の職員が右へ左へ足早に歩いていく光景をよく見かけます。「忙しそうだなぁ」などと眺めながらよくよく見れば、着ている服もお医者さんとは違う白衣だったりして、病院には多くの職員がいることに気づかされます。
私たちがよく見かけるのは、受付の事務員さん、カルテを用意してバイタルチェックをする看護師さん、治療をするお医者さん。あとは薬局で調剤する薬剤師さんでしょうか。その他、レントゲン検査や血液検査をする検査技師、医療相談を受けるソーシャルワーカー、リハビリテーションを行う理学療法士・作業療法士などには接したことがある方も多いかもしれません。
ここまで挙げましたが、それでも病院で働く職種の一部に過ぎないようです。ご紹介する本書では、がん治療の現場で働く15職種のコメディカル(医療機関で働く医師以外の職種のこと)についてスポットを当てています。
取り上げられているコメディカルは、まだ一般的に認知度が低く、「縁の下の力持ち」的存在であることは否めません。しかし、がん医療は特にですが、医療がどんどん専門化・細分化すると、それぞれの分野を専門とするコメディカルの力が欠かせません。分子レベルの検査から、家族の悩み相談、患者さんの食事やおしゃれといった生活上のアドバイスまで、その役割は実に多岐にわたりますが、すべてのコメディカルに共通していることは、患者さんの苦しみを少しでも楽にしたいという思いです。
病気の部位だけを診て治療・ケアを行うのではなく、患者さんの生活も含めた治療・ケアが求められる時代となりました。そのためには、多くのコメディカルがつながりを持って、それぞれの専門性を組み合わせ、チームとして患者さんに接することが大切とされています。
家庭介護も同じで、一人で何でもこなさなければいけない時代ではなくなってきています。よい介護を行うためにも、よいチームに出会うことが秘訣なのかもしれません。(byまっと)