西遊記
著者:呉 承恩 訳者:伊藤貴麿
発行:岩波少年文庫(岩波書店)
ISBN:(上)978-4-00-1145472
(中)978-4-00-1145489
(下)978-4-00-1145496
価格:上・¥756(税込)、中下・各¥798(税込)
発行:岩波少年文庫(岩波書店)
ISBN:(上)978-4-00-1145472
(中)978-4-00-1145489
(下)978-4-00-1145496
価格:上・¥756(税込)、中下・各¥798(税込)
「ただいまー!」と言うやいなや、ランドセルを放り投げ、テレビの前に直行。チャンネルをひねるとちょうど始まった、渋い声のナレーション。
「昔々、この世に人間が現れるはるか前、…」
それを聞くと、今日は悟空たち、どこを旅するのかな、どんな妖怪が出てくるのかな、などとワクワクしたものです。
今また西遊記ブームが来ている様子、現代風にアレンジされた悟空を目にしない日はありません。兄貴肌で正義漢、でもどこかおっちょこちょいなところもある孫悟空。テレビや映画ではそんなふうに描かれていますが、実は原作、ぜんぜん違うんです。
猿の王様だった孫悟空は、限りある人の命に虚しさを感じ、修行の旅に出ます。そこで72変化の術などを得るわけですが、その後の暴挙たるや、スゴい。とにかく竜宮や天界をさんざん荒らし回り、結局天界人に攻め取られ、五行山に封じ込められます。そのまま数百年(!)が経過。
そうして、ようやく三蔵法師と出会います。三蔵に同行することになった悟空は、修行僧として立派にふるまい、さまざまな艱難辛苦から同胞を守る。ここからが、さらに面白くなっていきます。
さて、この岩波少年文庫に収められた「西遊記」は全3巻。ほんとうはもっと長いお話なのですが、面白いところをかいつまんだダイジェスト版となっています。それでも、子どもにはちょっと刺激的なエピソードや、けっこう残酷なシーンもあって、大人の私が読んでもドキドキします。今年の夏は、ちょっと普段読まないこんな本を、手に取ってみませんか? (byこゆき)