モチベーション(最終回)
最近あまり聞かなくなったが、一昔前にマクドナルドに行くと店員さんから「ご一緒にポテトはいかがですか?」などと追加オーダーを求められる事がよくあった。何かの本で読んだ話だがこの「ご一緒に○○はいかがですか?」のフレーズは日本マクドナルド創業者藤田田氏独自の心理学に基づくものだという。マニュアル上、店員はまず顧客からオーダーを受け確認の為それを復唱し一旦「ありがとうございます!」と言った直後にオーダーに無かったメニューの追加オーダーを勧めていたのだそうだ。藤田田氏によれば「ありがとうございます!」という言葉は日本人に対して数秒間の催眠効果をもたらすという。催眠状態にあるうちに追加オーダーを求められるとつい応じてしまう可能性が高いというのが根拠であったとか。しかしマニュアルでは「ありがとうございます!」の理想的音階まで指導しているわけではない。「笑顔とともに」という程度の内容だろう。儀礼的・機械的な「ありがとうございます!」であればむしろ不快感さえ与えかねない。
打算やマニュアルの形式に基づいたものではない、心からの「ありがとうございます!」は数秒間などと限定的なものではなく深く人の気持ちの中に残るものだ。
この「ありがとう」という言葉こそ自分自身のモチベーションである。人から告げられる「ありがとう」の一言、自分が人に伝える「ありがとうございます。」の一言だ。仕事をするのも介護をするのもそして生きていくのもこの言葉のためだ。
誰でもそうであろうと思うが、一人でも多くの方から感謝される人間であり、一人でも多くの方に感謝する人生でありたい。
最近新聞社の取材を受けていて「『介護をしてよかった』と思う事は何かありますか?」と聞かれ即答で「何もありません。経験しないで済むならそれに越した事は無いです。」と答えてしまった。「介護をする理由は何ですか?」と聞かれ「意地…かな?」と答えていた。
本当のところはこの「ありがとうございます」なんだとわかっている。介護をするようになって人に感謝する事が多くなった。「荒川区男性介護者の会」に参加するようになってからは様々な方から感謝される事も多くなった。
このブログも毎回「お原稿拝受のお礼」と題してご担当者から届く「ありがとうございます。」のメールのお陰で1年間書き続ける事ができた。
今回このような機会を与えてくださった中央法規出版様、ご担当いただいた福留様、寺田様、読んでいただいた皆様、日頃私とその家族の生活を様々な立場から支え見守って下さっている皆様に心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。
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