リビングニーズ
巷では余命保険などとも呼ばれているようだが、要するに被保険者が余命6か月の診断を受けた時、死亡保険金として契約した額のうち最高で3,000万円までの金額を生前に受け取れるというもの。厳密には受け取る保険金部分に該当する保険料の6か月分と保険会社の予定利率に基づいた金利分を差し引いて支払われる為、2,900万円前後になるだろう。受け取った保険金は課税されない。
もともとはプルデンシャル生命保険のカナダ法人で尊厳死を望むエイズ患者の願いを受け開発された特約だ。この特約が日本で取り扱い開始され15年以上経つ。
余命6か月という医師の診断は約款により各社の規定があり、保険会社の社医による診断が必要な場合もあるようだ。
また、当人が余命告知を受けていない等、受取人である被保険者が請求を起こせない場合を考慮し、契約時または契約後に指定代理請求人を設定しておくことができる。但し、昨今の保険金搾取事件等を鑑み指定代理人の設定は各保険会社とも慎重になっている。法人契約では基より認めず、個人契約でも同居の直系血族ないし配偶者に限るケースが多い。
あまり知られていないようだが「臓器移植を受けられなければ6か月生きられない」という診断でも支払い対象となる。(保険会社によって違いがあるかもしれない)
「臓器移植を受けなければ…」ということは臓器移植を受けられた場合、延命する可能性があるということだ。では、リビングニーズを受け取った後に臓器移植を受け延命した場合、保険金はどうするか?というと保険金の返還義務は無い。
受け取った保険金部分の契約が消滅するだけだ。臓器移植後進国である日本国内での実例はわからないが、アメリカではリビングニーズを受け取って臓器移植を受け、延命したケースが数十例ないし百例以上あるという。
不幸の宝くじとも揶揄されてきた生命保険もリビングニーズにより生きるための保険へと進化を遂げた。
さらに最近では被保険者が要介護4ないし5に該当したとき死亡保険金を一定額控除して生前に支払うナーシングニーズの取り扱いをはじめた会社もある。
リビングニーズ・ナーシングニーズとも特約保険料はかからない。
保険の内容に関して確認・見直しをする傾向が高まっているが、契約者にとってメリットのあるこれらの特約はあまり認識されていないようだ。
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