障害者の親亡き後
私には6歳離れた知的障害をもつ弟がいる。愛の手帳(東京都療育手帳)の3度に認定されている。他の兄弟は3つ上の姉、2つ下の弟でともに既婚でそれぞれ子どももいる。
私は長男という立場もあり、両親には早くから知的障害のある弟の面倒は自分がみると伝えてきた。父母ともに元気な頃から通所授産施設の保護者会にも私が出席してきている。
「この事で安心させすぎたか」という気持ちが若干ある。保護者会に出席しているのはほとんど障害者の母親だが、かなり高齢な方でも自分で歩いておみえになる。障害者を子にもつことで「自分がしっかりしなければ」「この子より1日でも長生きしたい」との強い意志を抱いている。子どもに障害があるというのに両親揃って介護状態になってしまったのはウチの親くらいだ。弟の面倒は生涯自分が在宅でみるという気持ちに変わりはないが早くから両親に宣言した事に多少の後悔が残っている。
数年前、知的障害者を在宅で支える兄弟が集まって「親亡き後」を話し合ったことがある。一般に高齢者の介護を考えた時には男性より女性のほうが適していると思われがちだ。「介護」の範囲であるかどうかわからないが知的障害者を兄弟で支える場合必ずしも男性が適していないとは言い難い。
兄弟が知的障害者を支えるパターンは次の8通りあってそれぞれ問題点が違ってくるようだ。
健常者 兄 障害者 弟
健常者 兄 障害者 妹
健常者 姉 障害者 妹
健常者 姉 障害者 弟
障害者 兄 健常者 弟
障害者 兄 健常者 妹
障害者 姉 健常者 妹
障害者 姉 健常者 弟
私のような「健常者 兄 障害者 弟」のパターンが一番楽であろう。ただし高齢者介護と同様、支える兄弟が男性の場合、虐待の問題がおきやすいことは自分でも自覚している。
「健常者 姉 障害者 弟」「障害者 兄 健常者 妹」のパターンでは思春期において性的脅威を感じるケースも多い。置き換えればこの“性的”という部分が母や妻の高齢者介護を男性が担う時、最大の苦悩になっているのだと思う。
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