就寝前の一仕事
以前(6月25日)も書いたように、一人で自由に外出できない母にとって、テレビは唯一最大の娯楽だ。特に毎晩のように各局で9時くらいから放映される2時間ドラマを楽しみにしている。しかし2時間ものあいだ、一度もトイレに行かずテレビの前に居れるわけではない。尿意・便意を我慢してコマーシャルの合間に行こうと思ってもなかなかコマーシャルが入らなかったり、短いコマーシャルでトイレから戻る前にドラマが再開してしまうこともある。
そこでわが家では、母が視聴を希望する2時間ドラマをDVDレコーダーのハードディスクに録画して翌日見せるようにしている。リアルタイムで見ている場合と違って、トイレに行っている間は画面を静止しておけるからだ。さらに、録画したドラマは私が就寝前に編集してコマーシャルを全てカットしておく。正直面倒な作業ではあるが、母は世代的にコマーシャルが嫌いな人間だ。特に盛り上がったシーンで入る、いわゆる「山場CM」というものには怒りすら感じている。今のDVDレコーダーは、再生時に早送りしやすい機能も付いているから飛ばしてしまえばいいのだが、これがうまく使えないらしい。なんといっても、このDVDレコーダーのリモコンには数えてみたら59個のボタンがある。チャンネル表示の12個を除いても47個だ。この操作を全て覚えるのは容易ではない。ボタンの上に書いてある「再生」などの文字も小さくて、リモコンと一緒に置いてある虫眼鏡を使ってもよく見えないらしい。そこで最低覚えてもらうボタンを「ON・OFF」「一時停止」「再生」と録画したドラマの中から見たいものを選ぶ時に使う4つのボタンにしぼり他のボタンには触れないようにしている。それでもたまにわけのわからない画面を出してパニックをおこしている。
ケーブルテレビも導入したのでチャンネル数が飛躍的に増え、母の唯一最大の娯楽も楽しみが広がってはいる。しかし母のそばに置いてある3つのリモコン(テレビ・DVDレコーダー・ケーブルテレビ用)はボタンの数が合計で140個くらいにもなる。それぞれチャンネル表示のボタンを除いて100個以上だ。あと2年半でアナログ放送が廃止されデジタルへの移行が進められる昨今、「オンデマンド」などさまざまな機能を有したテレビが話題になっているが、「唯一の楽しみ」にしている高齢者が使いやすいものであってほしい。
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