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荒川区男性介護者の会の「オヤジの介護」

介護ドキュメンタリー番組

 以前取材を受けたことがあるテレビ局の記者さんから「『息子介護』のドキュメンタリー番組を放送するので視聴して意見をきかせてほしい」とのメールが入った。土曜日昼過ぎの30分番組だ。この手の番組は母親が嫌がるので自分の部屋で見た。

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 番組でとりあげた2例はいずれも認知症(アルツハイマー)の母親と二人暮らしの50歳前後で独身の男性介護者。元々フリーライターの方と母親の介護のために仕事を辞めた方。両者とも現状での固定収入は無く、主に母親の年金で生計をたてているという。
 私の場合は母親に認知症の症状は無く、知的障害があるとはいえ同居の弟がいて、多少なりとも自らの収入がある。まあ自分と状況を比べてもあまり意味が無いか。

 番組では、冒頭からもっとも触れにくい部分である「排泄」や「虐待」に関してリアルに語られていた。
 「息子として母親の性器を見るのは勇気がいる」「開き直らなければできない」というのはまさしく同感だった。
 「介護地獄っていうのは本当にある」「まさしく戦争だ」との発言は父親の介護をいていた頃を思い出して身につまされた。
 コマーシャルを入れて30分という限られた時間の中で『息子介護』の現状における最大の問題点をストレートに伝えていたと思う。

 しかし危惧しなければならないのは隠れているもう一つの問題点であろう。
 今回とりあげられた彼らも私もそう遠くなく老後を迎える。認知症などによる要介護状態になっている可能性もある。親の介護に人生の何割かを費やしたその後、収入はどうなっているのか? 介護支援者はいるのだろうか?

 政府は緊急経済対策の目玉として全世帯に向け定額給付金の支給を行う方針を打ち出しているが、優先すべきはギリギリの状態にある弱者救済ではないのか? 介護者の状況に応じて介護保険の自己負担を軽減するとか、障害者自立支援法による自己負担を一時凍結するという発想はないのか。

 『介護地獄』の果てにある悲惨な事件を無くすにはその手前にある事実の報道が必要だ。それには守りたいプライバシーの殻を打ち破っていかなければならない。

 今回の放送にあたり実名と素顔で番組に協力されたお二人の介護者に敬意を表します。


コメント


最近男性介護者の会をとりあえず形だけ発足させた、兵庫県宍粟男性介護者の会です。私が代表になりました。経歴は、難病の妻を介護の上昨年3月に悲しい別れをし、現在は障害者の息子と二人で生活中で、男性介護者からは一生抜け出られない68歳の男性です。荒川区の代表者の荒川不二夫さんも息子さんを介護されているとの記事を読みました。こういう立場の人はなかなかないので親近感をもっていますが、介護体験記にも掲載がありませんでしたのでお便りしました。。私は、第2回の体験記に応募しています。是非お便りとアドバイスをいただきたいと思います。よろしくお願いします。


投稿者: 中野剛志 | 2010年02月03日 10:53

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
荒川区男性介護者の会
(通称:オヤジの会)
妻や両親を介護している男性、介護をしていた男性を中心とした「男性介護者の会」の先駆け。東京都荒川区を中心に、住み慣れた地域で暮らす家族介護者の支援を展開している。定例会での介護の悩みや意見交換のほか、行政や地域の企業や商店、研究者、他の介護者の会などと連携をしながら、様々な情報発信を行っている。
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