ケアマネジャーの苦悩
過日、地元のケアマネージャーで組織された団体の総会に出席した。
活動報告・会計報告等を経て総会が終了した後、「ケアマネのゆくえ――希望を持って働くために」というタイトルで講演が行われた。タイトルを聞いただけでケアマネジャーの仕事がどのような状況にあるのかわかる気がしてしまう。
講演の冒頭では介護事業所の経営概況に関して語られた。居宅介護支援事業においては収益率の悪化が著しく、昨年度は平均して16%程度の赤字(平成16年度13%)、特別区に限って言えば25%の赤字となっているとの事。この話を聞いただけでも希望を持つにはほど遠い。
更に3か月前、厚生労働省から出された「ケアプラン点検支援マニュアル」に話が及ぶ。ケアマネジャーの事務量を削減するために導入されたというが、本当にそうなのだろうか? 傍で聞いていると保険者である自治体がケアマネジャーの不正を監視するためのものであるようにさえ思える。マニュアルの目的には「『自立支援』に資する適切なケアプランとなっているかをともに検証しながら……」とあるが『自立支援』を求める介護者がどれくらいいるのか。少なからず私はそのような方向性を求めていない。
また、ケアプランの作成にあたって生活援助中心型による算定の理由は「一人暮らし」「家族等が障害・疾病」「その他」とされているが、「主たる介護者が常勤の勤め人である場合」とは明記されていない。「『その他』の理由として生活援助型を算定するには、理由をきちんと整理して記載する」ということになっている。更に「生活援助中心型の算定理由が『その他』の場合、十分にその内容に関して、保険者は介護支援専門員と共に検討する姿勢が大切」「やむを得ない理由により生活援助中心型で算定したサービス内容も利用者及び家族の変化(病気が治る・虐待等が改善される等)に応じて本人の自立支援に必要なサービスに切り替えていくこと」などと記載されてあり在宅で家族がいる場合の給付を制限したい意向がみてとれる。
全体的に内容をみると保険者たる行政・自治体は介護支援専門員であるケアマネジャーに対して、「こっちを見ろ!」と言っているようで、現場に目を向けようとする意識は全く感じられない。
それでも講演の後半には、「ケアマネの仕事の醍醐味は?」と題して自分たちの仕事が現代の社会において高く必要とされていることや、ケアマネ同士のネットワークを通じて大きな力をつけられること、少なくはあるが現場から上げた声で現状を変えた実例があることなどを語り、次の言葉で締めくくられていた。
「誰もが老いる、介護が必要で迷ったり、悩んだりした時はいつでもそばにいて、温かい心と専門的な知識・技術を基に関われる仕事がケアマネです」
厳しい環境の中、高い意識をもって業務に当たるケアマネジャーの皆様に感謝します。
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