自治体の協力
「男性介護者の会」というのは全国にいくつか存在している。しかし、大抵がケアマネジャーや介護ヘルパーが中心となって介護者を集めている団体であって、「荒川区男性介護者の会(通称オヤジの会)」のように介護者が主体となって運営し定例会をもち長く継続しているケースは少ないらしい。
これには様々な要因があると思うが、一つ欠かせないのはやはり地元自治体の協力だろう。
「荒川区男性介護者の会」発足のきっかけは、平成6年に保健所のソーシャルワーカーによる呼びかけで、数名の男性介護者と区の職員が区役所の食堂で話し合いをもったことである。以後、16年継続している。
定例会も相当の回数開いてきているわけだが、かなりの割合で荒川区の高齢者福祉課や介護保険課の職員が出席し、介護者一人ひとりの現状に耳を傾けている。介護保険制度に変更がある折には、必ず事前に説明会も開催される。
荒川区社会福祉協議会にも、世話人会・定例会を開催する際の会場提供など、ずいぶん協力していただいている。先だって「荒川区男性介護者の会」10周年記念の冊子を増刷する際は、会の予算が苦しい状況であるのを察し、「キリン福祉財団」からの寄付をとりつけてくれた。
日本各地の自治体や教育委員会で様々な不祥事が明るみに出る昨今、荒川区でも4年前には助役・区長が相次いで逮捕されるという最悪の状況にあった。しかし、その後立ち直り、日経グループの調査で行政サービスが全国5位、情報化の進展度を評価する「e-都市ランキング」では全国1位の評価を受けている。実際、荒川区のホームページでは制度・政策等に関し、常に最新の情報が発信されている。もちろん自治体として当たり前のことなのだが。
とはいえ、例えば今年の2月、障害者福祉に関しネット上で調べていたら、昨年3月に破綻→清算している東京都の「心身障害者扶養年金制度」が都内5市区のホームページに掲載されていることに気づいた。各自治体の担当部署に削除・訂正を求めるメールを送信したが、即訂正したのは2市区のみ。某区においては3度のメールを送信しても訂正はなく、最終的に区長宛のメールを出してようやく訂正された。指摘に対するお礼と対応の次第を連絡してきたのは、いち早く対応した1区のみだ。荒川区では同制度に関し、破綻が決定した一昨年12月の段階で制度加入者への注意喚起と清算対応の手法が細かく掲載されていた。障害者自立支援法の施行にあたっても障害者本人の負担軽減を早期に決定している。
最近話す機会があった荒川区の副区長は「評価されたり感謝されたりというのは単純に嬉しいし励みにもなる。しかし我々の仕事は重箱の隅をつつくような話であっても苦情を聞くこと。他の自治体と比べてどうこうではなく、区民全員にとって暮らしやすい地域でありたい」と語られていた。
今、日本の政権政党はその舵取り役を決めるべく総裁選を行っているが、介護・福祉の政策に強く言及される候補がいないのは残念なことだ。
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