男の料理
男性が介護する側になってしまった場合に発生する問題点として、炊事・洗濯・掃除等の様々な家事をこなさなければならないという事がある。
中でも炊事は、「男子厨房に入るべからず」という世代の方にはひときわ負担であろう。いろんな方の話を聞いてきたが「初めて包丁を握って、指が血だらけになった」とか、なかには「インスタントラーメンの作り方がわからなかった」なんていう話もあった。
私の場合、さいわい若い頃に一人暮らしの経験があり、食品会社に勤務していた事もあるので料理はさほど苦にならない。和・洋・中にわたってある程度のレパートリーがある。
ちなみに、ここ数日の夕食は麻婆豆腐、サーモンムニエル、豚肉しょうが焼き。付け合わせのポテトサラダや人参のグラッセも自分で作る。たまに失敗もするが、食べられないようなモノになる事はまず無い。まぁ、昔と違って冷凍食品も進化しているし、簡単に味付け調理ができる「○○の素」的なものも多く出ているから、何もかも全て自分の手作りで、っていうわけでは無いが。
それでも弟の弁当にはホネを折っている。知的障害のある弟は近くの授産施設に通っているので普段は給食が出るのだが、年に数回(1回あたり7~10日)、別の障害者施設で行われる研修に出る時だけ弁当が必要になる。同施設では「お兄さんの作ったお弁当を持ってきている」ということで興味本位に出来映えをのぞかれているそうだ。これには結構プレッシャーがかかる。毎回初日はいわゆる三食弁当(炒り玉子、鳥そぼろ等)、2日目はハンバーグで期間中1度はおにぎりでごまかす。
いずれにしても料理をするのは自分自身がボケないためにも非常にいい事らしい。肉を焼きながら付け合わせやみそ汁を同時に作るなど、複合作業をしていると認知症にはなりにくいそうだ。女性がボケてしまうのは、厨房の仕事をお嫁さんや娘に受け継がせた後に多いらしい。
私が所属している男性介護者の会でも1~2年に1回程度、調理実習的なことをやっている。私は参加した事が無いのだが楽しみにしている方も多い。こんなものが作れる、あんなものが作れるとお互いに張り合うのもまた、ボケないための秘訣のような気がする。
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