成年後見制度とは
旧民法でいう「無能力者」または「行為無能力者」(禁治産者、準禁治産者)の制度に代わり、スタートした制度です。ドイツの世話法などを手本として、2000年の介護保険制度導入と同時に改正された民法に規定されました。
この時、これまで「措置」として扱ってきた介護を、利用者の意思を尊重した「契約」の制度に移行させました。ですから、判断能力が低下あるいはもてなくなってしまっている認知症の方には、当然、代理で契約行為を行う人間が必要になるわけです。
また、2006年に施行された障害者自立支援法も同じように「契約」という行為に移行しました。知的障害者や精神障害者の場合、こちらも法律行為を代行してくれる人間が必要となるわけです。
未成年の場合、法律行為というのは親権者に委ねられたりするわけですが、本人が成人した後は、たとえ障害者でも認知症でも本来は自身でこの行為を果たさなければならないわけです。
そこで、「成年後見人」という仕組みをつくって、判断能力が充分でない方の代わりに財産の管理や契約の締結、あるいは本人が誤った判断に基づいて行ってしまった契約の解除を代行できるようになりました。
成年後見制度には、「任意後見」と「法定後見」があります。
「任意後見」というのは、本人に充分な判断能力があるうちに将来に備えて(誰でもいつ自分が認知症にかかってしまうかわからないから)、自分の意思で後見人を決めておくものです。
「今は元気だからいいけど、将来自分の判断能力が低下してしまったらこんな介護をしてほしい」「財産はこうやって管理してほしい」といった内容を「任意後見代理権目録」として公正証書にしておくわけです。
その後、もし本人の判断能力が低下したら、本人、配偶者、四親等以内の親族、任意後見契約をかわした後見受任者、のいずれかが家庭裁判所に申立てを行います。申立てが行われると、裁判所が任意後見監督人を選任します。そこから初めて任意後見がスタートします。そこまでは任意後見契約を交わした方は任意後見受任者と呼ばれます。
一方、「法定後見」とは、既に判断能力がない方が、上記のような契約を行わなければならない時に申立てを行うものです。法定後見の場合は成年後見人等が裁判所から選任されます。また、成年後見監督人が選任される場合もあります。家庭裁判所によって直接監督される場合もありますが、監督人を弁護士や司法書士が行う場合は、費用が発生します。
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