外出の弊害
要介護者が外出を嫌がる理由は、最近のコマーシャルにもあるようにトイレ(排泄)に不安を感じている場合が多い。そしてもう一つ理由にあげられるのは、やはり「周囲の目」であろう。
母が、まだどうにかシルバーカー(いわゆる手押し車)で外出していた頃のことである。病院に行くため、いつものように近くの停留所から都電に乗り込んだが、ちょっと混んでいた。他の乗客の迷惑にならないよう、シルバーカーをなんとか隅に寄せようとしていたら、車内にいた50代くらいの女性から「あんなモノにつかまってまで出かけなくてもいいのに」と言い放たれたそうだ。
この日が母にとって公共の交通機関を利用した最後の日になった。
男性介護者サロン「M」
「荒川区男性介護者の会(通称オヤジの会)」では隔月(偶数月)に1回、夜6時くらいから会合を開いている。
曜日は決めていないが、土曜日になる事が多い。働きながら介護している人のことを考えると集まりやすいからだ。また、夜に集まることで多少のアルコールも嗜みつつ、愚痴や本音も出やすくなってストレスの解消につながる。
男の料理
男性が介護する側になってしまった場合に発生する問題点として、炊事・洗濯・掃除等の様々な家事をこなさなければならないという事がある。
中でも炊事は、「男子厨房に入るべからず」という世代の方にはひときわ負担であろう。いろんな方の話を聞いてきたが「初めて包丁を握って、指が血だらけになった」とか、なかには「インスタントラーメンの作り方がわからなかった」なんていう話もあった。
成年後見制度とは
旧民法でいう「無能力者」または「行為無能力者」(禁治産者、準禁治産者)の制度に代わり、スタートした制度です。ドイツの世話法などを手本として、2000年の介護保険制度導入と同時に改正された民法に規定されました。
この時、これまで「措置」として扱ってきた介護を、利用者の意思を尊重した「契約」の制度に移行させました。ですから、判断能力が低下あるいはもてなくなってしまっている認知症の方には、当然、代理で契約行為を行う人間が必要になるわけです。