歓迎タスポ
母は数十年来の喫煙者である。ヘビースモーカーではないが、禁煙した事もあまりない。狭心症や高血圧の症状があるので喫煙は好ましくないのだが、長年の習慣と母なりのストレスからやめられないようだ。
リビングや私の見ているところでは吸わないが、私が外出している間にトイレや風呂場などでこっそり吸っているらしい。あまり私に嘘をつくことのない母だが、この件だけは正直に話してくれない。
「火災の危険性もあるので、吸うのならリビングに灰皿を置くからそこで吸ってほしい」と私が言っても、母は、「煙草なんか吸っていない」の一点張りだ。
何年か前に母の喫煙について、主治医に相談した事があるが、主治医には正直に話しているようだ。1日に多くて4~5本程度、1週間で1箱くらい吸っていて、足の不自由な母は自分の足で自由に出歩くことは出来ないから、知的障害がある弟に煙草を買いに行かせているらしい。
主治医の見解では、「吸わないに越したことはないが、精神的なストレスとの兼ね合いもある。1週間に1箱程度なら、あまり責め立てないほうがいいのではないか」と指導された。
また、「嘘をつくのは、これ以上心配をさせたくないという気持ちからではないのか」とも言ってくれたが、明らかに吸っていることがわかっている上、灰皿も無いところで吸っているとしたら、いつか火災を起こしたり火傷を負ったりするのではないかと余計に心配だ。母なりに水周りのある場所を選んではいるようではあるが。
そうした中、自動販売機で煙草を買うための成人識別ICカード「taspo(タスポ)」の導入がされた。東京でも昨日から稼動しはじめた。
この情報で実に助かった。自動販売機ではICカードが必要になり、対人販売でならICカードが無くても購入できるわけだが、どうやら母は勘違いをしており、今後ICカード無しに煙草の購入はできなくなると思い込んでいる。ICカードの報道がきっかけで、5月末頃から母が喫煙を止めてくれた(あきらめた?)。
私のようなケース以外でも認知症高齢者の喫煙にハラハラしていた方で今回の導入に感謝している人がいるんじゃないかなという気がする。
とりあえず一安心だが、これまで煙草で解消していたストレスをどんな方法で逃がしてやるか、今後はそれが問題だ。
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