事業者の選択
当たり前の話だが、ケアマネジャーをはじめとする介護事業者の選択は、介護者にとって重要な関心事だ。しかしながら、選んでいられないくらいの状況にあることも事実である。残念ながら介護ビジネスの現場においては相変わらず売り手市場が続いている。それでも我が家はそこそこ恵まれている。
介護保険が導入された平成12年のはじめ、自治体に父の要介護認定の申請を提出したところ、すぐに派遣できるケアマネージャーがいないと言われた。その数日後になんとか手配していただいたのがU氏。U氏は父が亡くなった今でも、母のケアマネジャーを努めている。真面目で温和な方だ。こちらの希望を充分聞き届け、必要の無いサービスを押し付けてくることもなく、情報提供もきちんとしてくれる。
しかし、ホームヘルパー、訪問看護師となると、いつも恵まれているとは限らない。
父に床ずれができてしまったため、訪問看護ステーションより毎日看護師に来ていただいていた事がある。仕事はきちんとしてくれるのだが、系列病院への入院を何かにつけ勧めてくる。はっきり言って入院患者獲得のノルマを与えられているのではないかと思ったくらいだ。
父が高熱を出していた時に訪問看護師は、ここぞとばかりに病院に空きベッドの確認をとっていた。しかし、たまたま同じ時間に来ていたホームヘルパーが病院勤務経験のある方で、父の下腹部の様子をみて「便がたまっているだけじゃないの?」と言ってくれた。訪問看護師に頼んで浣腸してもらうと異常な量の排泄があり、下腹部の張りが解消された後、父は平熱に戻っていた。
ちょっと信じられない話だが、そんな事があった数日後に当の訪問看護師を派遣していた事業者から連絡があり「ケアマネジャーを当社所属の者に替えていただけなければ、今後看護師の派遣はできません」と言ってきた。
ちょうどU氏にも上記の事態を報告し、他の訪問看護ステーションを探してもらえないかと相談していたところだったので正に渡りに船、翌日から事業者を替えていただいた。普段温厚なU氏もこの時ばかりはさすがに激怒していた。
変更後の訪問看護ステーションでは、やみくもに入院を勧められる事は無かった。
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