「荒川区男性介護者の会」
私がこの会に入会したのは今から7年前、要介護5であった父が他界して1か月後、介護保険の制度が導入されて1年後からだ。父の存命中、その介護と仕事に追われてとれなかった時間に少し余裕が出来たことと、それまで気持ちが張り詰めて気丈に振舞っていた母も要介護1の認定を受けており、父の葬儀後急激な衰えを見せていたことが動機となった。以来現在に至るまで最年少会員でもある。
初回で印象に残ったのは車いすに乗った奥様を連れて参加されていたご老人の話。本人の齢は90を超え、認知症を患った奥様の介護をしているという。
「昨年より年金から介護保険料が引かれるようになり、減額され始めた東京都の老人福祉手当も2年後には一切もらえなくなるらしい。生活は苦しくなる一方で行政から『早く死ね』と言われているようだ」
老人福祉手当は平成12年3月まで65歳以上(所得制限あり、70歳以上は所得制限無し)で寝たきりの高齢者に対して月に5.5万円、年66万円が4・8・12月の3回に分け22万円づつ支給されていた東京都の制度。介護保険制度の導入と時を同じくして新規の受付を取り止め、既存受給者への支給額を毎年1/4ずつ減額し平成15年度をもって完全に廃止となった。その会以降、このご夫婦の姿は見ていない。
介護保険制度開始から8年経つが「介護保険ができて本当によかった」などと言う声はほとんど聞いたことが無い。介護を苦にした自殺・心中も減りはしない。むしろ増えているだろう。そうしたニュースに触れる時、毎回感じているのが介護者の孤立である。
つい先日、富士山の樹海入り口に立てられた「借金で死なないで」の看板により少なくとも29人の命が救われたという報道があった。大袈裟かもしれないが男性介護者の会は「介護で死なせない、殺させない」役割も果たせるものだと信じている。
ケアマネジャーや行政、親戚にも言えない悩み・相談がある方は、地域を問わず一度私たちの会に連絡・参加をしていただきたい。
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