様々な「きっかけ」のために(最終回)
前回は介護の身体の使い方が、日常動作にも活用できるということを紹介しました。
具体的な動作については、私が朝日新聞のWeb「どらく」に連載している、実践カラダ塾「古武術に学ぶ体つかい」を参考にしてみてください。
さて、今回でこのブログも最終回です。1年間、「古武術介護」に至った経緯から、身体運用、具体的な技術、発想など様々なことをお話させていただきました。
しかし、それらはあくまでも私個人の体験、考え、技術であって、そっくりそのまま皆さんの状況に当てはまるものではありません。マニュアル的に取り入れることではなく、あくまでも1つのヒントとして参考にしてもらえたらと思います。そして、皆さんと皆さんの介護を受ける方にとって最適な介護技術を創り出してもらえたらと思っています。ただ教わった通りにするのではない、「脱マニュアル」の発想こそが、刻々と変化する介護の現場に求められることであり、このブログは一貫して様々な角度からそのことを述べてきました。
「古武術介護」とはあくまでニックネームであり、その本質は身体運用の根本的改善により、介助技術の質的改善を目指すものが正体です。ですから、特に技術の形が特殊であることはなく、一見すると何の変化もありません。だからこそ、今まで皆さんが培ってきた経験や技術を捨てることなく、その理論や発想をプラスすることで、さらにそれらが生きるようになると思います。
「古武術介護」なんて名前は忘れるくらいに体の動きを工夫することの楽しみが自然に行えてくれば、見た目はそのまま、技術の質が必然的に変わってくるでしょう。
その変化は自分自身が感じるだけでなく、介護を受ける方自身もはっきりと感じられるはずです。
お互いに優しい介護技術を精神論からでなく、具体的な技術論からはじめてみること。
技術という行動を通して、気持ちも変化してくるのではないかと考えています。もっとも、介護を受ける方にもっとより良い介護を受けてほしいという気持ちが根底にあれば、自ずと技術を高めていこうという発想も自然と沸いてくるでしょう。
まずは行動してみること。昨日と違う自分の身体が発見出来たら、それは介護を受ける方にとっても同じ感覚を共有できることにつながるでしょう。
そんな、様々な「きっかけ」になれる可能性を少しでも感じていただけたら嬉しく思います。
1年間、ご愛読ありがとうございました。
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