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岡田慎一郎の「古武術介護のトリセツ」

ベッド下方にズリ下がった方を元に戻す技術

 病院、施設、家庭、それぞれの介護の場面で共通する悩みとして、多くの方から受ける質問があります。それは、ベッド上で下にずり下がった方を、どのように引き上げるかということです。オムツ交換、体位変換、ベッド上で食事をした後に寝る時など、どうしても、元の位置より下にずれてしまいます(写真1)。

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(写真1)

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 ある程度脚力などが引き出せる方ならば、その動きを最大限に出せるよう介助するのが最良だと思います。しかし、動きたくても動きにくい状態の方、もしくは全介助状態の方の場合、かなり苦戦をしてしまいます。写真2のように全身を一気に引き上げようとする場合も多いと思いますが、かなり力まかせとなり、被介助者、介助者双方ともに身体に負担がかかってしまいます。

okada20090302-2.jpg
(写真2)

 そこで、無理のない引き上げ方を考えてみましょう。
 なぜ動かしにくいのかというと、背中がマット全面に触れていて摩擦が大きいからです。そこで、身体を横に向けるとマットに触れている面積は半分以下となり、摩擦も小さくなります。そこからまた一気に引き上げようとしてしまいがちですが、あくまでも無理はしないようにしましょう。コツは一番動かしやすく、要になるところだけを動かしてみましょう。それは骨盤です。横に向けた状態で骨盤を抱えます(写真3)。

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(写真3)

 ここから、ついつい真上に引き上げてしまいがちですが、そうしてしまうとかなり力任せになってしまいます。真上ではなく、斜め上に引き上げることがポイントです。被介助者の太腿の向きと、介助者の腕が斜め上方向に重なることを意識して引くと、腰が楽に引き上げられます(写真4)。骨盤の位置が上に上がったら、後は上半身、下半身を適切な位置に戻すようにします。

okada20090302-4.jpg
(写真4)

 一気に引き上げるよりも、分割した動きで行ったほうが、一見遠回りでも、結果として負担がなく、心地良い介護につながります。無理かなと思ったら、手順を分けて急がば回れ、どんな技術にも通じることだと思います。


コメント


参考になりました


投稿者: あじまt75 | 2012年05月12日 23:47

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プロフィール
岡田慎一郎
(おかだ しんいちろう)
介護支援専門員、介護福祉士。1972年生まれ、茨城県出身。身体障害者施設、高齢者施設の介護職員を経て、朝日カルチャーセンター等の講師を務める。武術家甲野善紀氏との出会いにより編み出した、古武術の身体操法に基づく介護技術(古武術介護)で注目を集める。著書に、『親子で身体いきいき古武術あそび』(日本放送出版協会)、『古武術介護入門』(医学書院)、雑誌掲載など多数。(タイトル写真提供:人間考学研究所)
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