介護技術の実践 ベッドで寝た人を二人で抱える(1)
今回はベッドで寝た人を二人で抱え上げる技術を紹介します。これが技術!?と思われる方もいるかもしれません。確かに、被介助者の動きも引き出すことがほとんど行えない状態ですから、単純な筋力に頼ってしまいがちです。実際に、大柄な方になると、無理をして、写真1のようになり、被介助者、介助者ともに事故の危険性が高まります。
もちろん、どんな大柄な方にでも行えるわけではありませんが、きちんとした身体の使い方の工夫を積み重ねると、いつもの介護より双方に負担がなく抱え上げることは可能であると思います。
ポイント(1) 力まかせではバランスを崩しやすく、持ち上がらない(写真1)
まず、上半身を抱える人の抱え方を工夫してみましょう。失敗例(写真1)を見ると、被介助者の肩に一直線に腕を差し込んでいます。そのため、しっかりと抱えることが困難となり、力を入れることもできず、抱え上げることを失敗しています。
そこで、しっかりと被介助者を抱えることができる手の差し入れ方を工夫してみます。
(写真1)
ポイント(2) 反対側の肩を上げて、首筋から手の甲を差し入れる(写真2)
(写真2)
ポイント(3) 斜めたすきがけに差し入れ、手首だけを返して手の平から抱える(写真3)
肩から差し入れると、どうしても腕の長さが足りない場合が出てきてしまいます。特に、女性が男性を抱えようとすると、その傾向が強まるでしょう。そんな時に、以前行った上体起こしでの腕の差し入れ方を活用してみましょう。すると、首筋から手を差し入れるため、片方の肩幅分、腕を長く使えるようになります。そのため、腕の長さに余裕が出てくるために、今までよりもしっかりと抱えることが可能になってきます。
また同時に適切な背中の張りも出てきます。その張りは背中と腕がつながって働いている目安でしたから、腕力に頼る動きから脱したことも意味しています。
(写真3)
ポイント(4) 腰に手を差し入れる(写真4)
肩から背中への抱え方が出来た後、腰を抱えます。通常なら、なるべく深くしっかりと抱えようとするぐらいですが、実はここにも工夫があります。この一直線に腕を差し込む動き、二人目は両手とも一直線に差し入れます。次回は二人目の動きを中心に、この一直線での手の差し入れ方の工夫を行ってみます。
(写真4)
※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。