介護技術の実践 長座からの立ち上がり(1)
2008年11月25日 09:00
今回から実際の介護技術を通して、筋力に頼らない、身体に負担をかけない動きの質を追求していきたいと思います。
まずはじめに、現場での困難事例を取り上げます。
ベッドや車椅子への移乗がうまくいかず、介護を受ける方がずり落ちてしまった、あるいは、畳や床に座ったまま立ち上がることが困難になってしまったなど、座位や長座位からの介護は、ある程度ご自分で動ける方なら、動きを引き出す方向で介護ができますが、動きを引き出しにくくなった方の場合、「結局、筋力に頼るしかない」と力まかせになりがちです。
そして頑張りすぎた結果、腰を痛めてしまったということも現実に聞きます。(写真1)
(写真1)
施設や病院ならば、そんな状況でも2人、3人で対応できる可能性がありますが、在宅介護の場合、人数確保はなかなか難しい問題です。
今回はそんな困難な状況でも、介護を受ける側・行う側がお互いに身体を痛めず、しかもうまくいくと、ほとんど力感を感じないような技術を紹介していきます。ただし、形を真似するだけでは力まかせになりがちなので、これから一つひとつ、身体の動かし方の原理を積み重ねていきます。
工夫の数が少ないほど力に頼り、工夫の数が多いほど、力からの脱却ができるのが技術の本質ではないかと考えます。力ではなく、あくまでも技術で介護が行えるように、じっくりと取り組んでいきましょう。
最初は構え方からです。いきなり介護を受ける方の胴体に手を回し、引き上げようとしてしまいがちですが、それでは、あまりにも工夫がありません。まずはあまり難しくない工夫からはじめてみてはいかがでしょうか。
それは単純なことです。胴体に手を回す前に、膝の内側に肘を入れてみてください(写真2)。
(写真2)
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