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岡田慎一郎の「古武術介護のトリセツ」 2008年10月

技術以前の身体の使い方(4)姿勢

 腰痛問題と切り離せない体の使い方として、最も重要となってくるのが今回取り上げる「姿勢」です。
 介護時に姿勢を意識するのは、車椅子やベッド、トイレでの移乗介助でしょう。その中でも特に、全介助状態の方への移乗介助はどうしても力が入り、腰痛の危険性も高まります。
 そんな時、「背筋を伸ばして腰を曲げないように」と注意を受けた方も少なくないかもしれません。写真1を見てみましょう。確かに我々がイメージする「良い姿勢」です。
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(写真1)



技術以前の身体の使い方(3)力の伝達を良くする

 今回は手の平を返す、返さないという少しの動きの差により、出る力が大きく変わっていく身体の使い方をしてみましょう。
 まず、手の平からものを持つようにします(写真1)。その時にはほとんどの方が腕の力で持ってしまうでしょう。軽いものならまだしも、重いものになればなるほど、腕の力に頼ってしまうと、肩や腰を痛めることにもつながりかねません。通常ならここで、腕力そのものを鍛える、という発想にいくところですが、部分的な筋力に頼らないということが、この連載の核ですので、違う発想をしてみましょう。
okada081020-1.jpg
(写真1)



技術以前の身体の使い方(2)全身の連動

 前回は背中と腕との連動をチェックし、想像するよりも腕に頼った動きをしていることを実感してもらえたと思います。今回はそれを踏まえて、背中から腰をほぐし、なおかつ全身を連動させる動きを紹介します。
 写真を見ていただくと、一見ただ手を伸ばしたり縮めたりしているように見えます。しかし、この単純な動作が実は意外なほど効果を発揮します。まずは、実際に行ってみましょう。



技術以前の身体の使い方(1)背中と腕との連動性

 今月から実際の身体の動きを通して、皆さんとともに介護技術を考えていきたいと思います。
 まずはじめに、技術以前の問題として、今月は技術を取り扱う私たちの動きから見直しをしていきましょう。
 今回のテーマは、背中と腕との連動性。背中と腕が連動すれば腕力に頼らずに負担のない動きになるのです。しかし、イメージ的には分かっても、どれだけ連動しているかは、あまりピンとこないでしょう。そこで、以下のチェックをしてみると、どれだけ背中と腕が連動しているかを実感できると思います。



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プロフィール
岡田慎一郎
(おかだ しんいちろう)
介護支援専門員、介護福祉士。1972年生まれ、茨城県出身。身体障害者施設、高齢者施設の介護職員を経て、朝日カルチャーセンター等の講師を務める。武術家甲野善紀氏との出会いにより編み出した、古武術の身体操法に基づく介護技術(古武術介護)で注目を集める。著書に、『親子で身体いきいき古武術あそび』(日本放送出版協会)、『古武術介護入門』(医学書院)、雑誌掲載など多数。(タイトル写真提供:人間考学研究所)
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