古武術介護なんて無い!?
ここまで、「古武術介護」の成り立ちを介護との出会いから紹介してきました。
ここで、正確に伝えておきたいことがあります。
実は「古武術介護」というものはないと思っています。
私が身体運用を学ばせていただいている甲野師範は古武術の継承者ではなく、あくまでも古武術をはじめとする他の流儀や異分野との交流を参考にして独自の武術を研究実践しています。
正確にいえば、「創作武術」といえるでしょう。しかし、古武術を参考にしたということや、現代武術とは違うということで、「古武術」としてマスコミに取り上げられることがほとんどです。
そのことからも「古武術介護」は本来ならば「武術的身体運用を参考にした介護技術」というべきだと思います。
しかし、それではタイトルとしてはインパクトが弱いし、マスコミ的には「古武術介護」のほうが、多くの人に興味を持ってもらえると考えるでしょう。
実は、ある出版社で連載した時のタイトルが「古武術介護入門」というストレートなタイトルでした。「甲野師範=古武術」その甲野師範に学んだから古武術介護というわけです。
耳なじみもいいようで、それ以降、自然と「古武術介護」の呼び名が広がっていったと思います。そして、それまでは甲野師範が名付けた「介護流柔術」の呼び名もあったのですが、古武術介護のほうが覚えやすいのか、今ではほとんど聞かれなくなりました(個人的には結構いい名前だと思っていたのですが)。
いわば「古武術介護」とはニックネームのようなものといえるでしょう。
ただ、よく講習会などに行くと省略しすぎて、
「古武術の研修を何時から始めます」と放送されたり、「古武術の岡田先生です」と紹介されたりと、「ちょっと待ってください!」と言う場面が多いですね。
皆さん、省略し過ぎです(笑)。
あくまでも私は介護福祉士であって武術家ではありません。
そして、皆さんも武術をしなければ出来ないようなものでもありません。
それでは、「古武術介護」の本質って何かというと、それは介護技術そのものではなく、身体の使い方という根本に重点を置いたことだと思います。
このことについては、次回詳しくのお話ししていきたいと思います。
※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。