全てを味方につける発想
今まで古武術介護の成り立ちを振り返ってくる内容でしたが、今週は少し脇道にそれて、ブログならではの、今日の出来事を綴ってみたいと思います。
今日は会津若松にあるコンピューターによる動作解析を行う会社でモーションキャプチャーの実験をしてきました。実際の実験は市内にある会津大学内の研究室で、学生の皆さんが中心に実験を進めてくれたのですが、そのレベルの高さに脱帽。一台数百万円もするような専用カメラをはじめとする撮影、測定機器が何台も取り囲むハイレベルの環境。そして、それらの機器を使いこなす、匠の技とでも呼びたくなる腕前。同行した看護学校の先生方も、
「最近の日本の若い子たちは…とつい言いたくなるけれど、この大学の学生さんたちを見ていると、そんな心配もなくなるくらいね~」
と感心することしきりでした。
実際の実験では上下黒の実験着を着て、関節を中心に小さな球体をマジックテープで装着して撮影、そこを目安にコンピューターで動作の解析を行いました。
しかし、相手と密着することが多いため、その球体が撮影のたびにポロポロ落ちたり、相手にくっついてしまったりとトラブルが続出。
また、球体が複数あるため、相手としっかり密着することが出来ないため、通常のような動きを行うことが困難となり、
「これではいつものような自然な動きは出せませんね」
と正直、お手上げの状態。それでも何とか慣れていったものの、やはり違和感は最後まで残ったままでした。
良い経験だし、楽しくもあったと思う反面、いつもの動きが出来なかった悔しさを抱えて、複雑な気分で打ち上げの会場へ。会津の郷土料理を食べ、地元のお酒もいただきながら、話は盛り上がりました。そこで、ある編集者の方がバイクの話をしました。
「1m50cmくらいの壁を、小石一個をきっかけにしてバイクで登ってしまう人がいるんですよ」
それを聞いた瞬間、今日の実験で散々苦戦した「球体」をふと思い出しました。
邪魔だと一方的に気をつけて、球体を自分の味方につけようとする発想が出なかった自分に猛烈に腹が立ったのです。
介護の現場では、日々被介助者の方の状況は変わり、また環境的な要素、介助者自身の体調なども変化があります。そんな不確定な中、その時点でのベストを尽くすのが現場の介護だと思っていました。
しかし、今日の自分は実験現場の環境を味方にすることなく、拒絶していたのです。
球体を利用して技術に活かそうと動いていたら、もっと違う技術が生まれていたかもしれないなと、ホテルに帰ってからも考え続けてしまいました。
今後も実験を行う機会がありそうなので、その時にはやりにくさをいかに味方につけられるか、拒絶ではなく、いかにその状況と仲良くなれるかをコンセプトにしてチャレンジしたいと、強く思いました。
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