日本で二番目に設立された自然史系博物館
私は、旅その他で地方に出かけると、その土地の博物館を見学することが習慣化している。
仙台市内にある財団法人斎藤報恩会・自然博物館もその一つ。財団設立は1923(大正12)年、博物館開館は1933(昭和8)年。
東京上野にある国立科学博物館に次いで日本で二番目に設立された、自然史系博物館である。
主として、東北地方に関する学術研究と一般市民に対する学術普及を目的として設立され、現在に至っている。
各地から収集された岩石・鉱物・化石・動物・植物などの貴重な資料標本類を基礎に、膨大なコレクションの数々は時代の流れとともに、最近の地球環境の変化を直接的に語ることのできる証拠品として、その存在の意義は大きい。
私の友人が東北大学医学部に在籍中、当時は種類も数も東北大の図書館より多かったので、大学時代はもっぱらこの博物館に通い、医師として市内の病院に勤務するようになってからも、随分通ったという。「たいへん勉強になった」と、今でも語り合っている。
ところが、昨年6月15日をもって常設展示場が閉鎖され、特別展も今月までとなった。平成21年4月に近くに移転し、また平成21年度中に新たに開館する予定とのこと。ちょっと安心した。
先日訪れた際、『斎藤報恩会・博物館のあゆみ』という本と「博物館だより最終号」をいただいてきた。時の流れと歴史の重みを改めて感じさせられた。
一般に博物館は、目的・設置者の意図によって、専門分野・対象などが定められ、それに応じて最も適切な資料が収集される。その資料は「物」が主体であるが、実物・標本・模型などに限らず、関連する模写・文献・図表・写真・フィルム・レコードなども含まれる。
「科学の出発点は、観察である」と、博物館だよりにあった元館長の西澤先生の言葉は、まさにその通りで、私の心をとらえた。
博物館の資料・標本などのすべては、「観察」より始まるので、「見る」のではなく、「観る」ものなのである。
『斎藤報恩会・博物館のあゆみ』を読むと、三笠宮寛仁殿下ご夫妻や江崎玲於奈博士などをはじめ、各界の著名人の訪問者も多い。
こうした博物館は、資料の展示を通じて、大衆の教育啓発に貢献する「民衆の大学」と言っても過言ではない。
私がこの博物館から学んだものは、大学以上に大きいものがある。心より感謝すると同時に、4月以降に新発足する博物館の開館を、心より楽しみにしている。
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