「仕事と介護の両立は難しい?」
うーん、この質問をよく受けるが、介護そのものより、この質問に答えるほうがはるかに難しいと思う。
なぜかと言うと、介護はケースバイケースで、介護を受ける側、する側のかたちは多種多様だから…。
私の経験から、その実感を言わせていただくと、難しいことは事実である。
ところがものは考えようで、難しいことに一生懸命に体当たりして、それをクリアした時の喜びはまた大きいものがある。
達成感というか、生活の充実感というか、介護という経験によって得られる喜びでもある。
母にとっては人生のフィナーレになるかもしれない日々を、「私は共に過ごしたい」という思いが先立った。
しかし、当時現職であった私には、ひとりで母を抱えこむことは不可能。これをやみくもに両立させても長続きしないことは目に見えていた。それだけではなく、互いが重荷になる可能性もあるに違いない。
そこで相談したのが、町の社会福祉協議会だった。早速ケアマネジャーさんを紹介され、母がしてほしいこと、私がサポートしてほしいことを聞いていただいた。
要は、母が孤独感におちいらないで、安心して日々憂いなく過ごせるためにどうしたらよいかを中心に、計画は立てられた。
在宅介護で何が難しいかと言えば、介護する人の労力と、介護を受ける立場の人との人間関係、経済面での負担だと思う。
これらが同時にクリアできないことが、介護の難しいところ。
私の場合、仕事があったからこそ、経済面での心配をしなくても済み、一人で介護するのではなく、多くの人のお世話になり、賑やかな人の出入りが母の孤独感をなくしてくれた。
安住の場をもて喜んでくれたことが、私にとって介護の生きがいとなった。
そのために、仕事にもより張り合いができ、うまく両立できたケースであったと思う。
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