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落合敏の「介護は楽しみながら」

食器の配置から食べ方の順番まで

子どもの頃の思い出
 私の子どもの頃、唯一母の手伝いといえば、食卓の準備である。
 母の作った料理を家族それぞれの器に盛り、食卓に主食、汁もの、主菜、副菜、漬物、デザートその他を教えてもらったとおりに並べ、母にチェックしてもらってから食事になる。

図)食器の並べ方・食べ方の順序ochiai20080926.jpg

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「食事のマナーです」
 母のチェックは厳しかった。家族の一人でも並べ方の順序が間違っていると、やり直し。
 私は、器の数がそろっていれば、並べ方の順序はどうでもよいのではと思い母にそう質問すると、「器の並べ方が違うと食べ方の順序も違ってきて、健康にもよくないから」と答える。
 私はさらに「それはどうして」とその理由を求めると、「理屈ではありません。食卓のマナーです」と答える。
 母はいつも威厳があって、私は疑問をもちながらも、母の言う通りに準備した。でも楽しかった。
 みんなが食卓にそろうと、一斉に味噌汁を一口飲む。次にご飯を食べてから、主菜、副菜の順番で食べ、箸休めに漬物(ぬか漬け)、最後にデザートを食べて終わり、ご飯だけはそれぞれがおかわりをする。

実は合理的な食卓のマナー 
 今考えてみれば、母は理屈ではなく食卓のマナーと言ったが、食器の並べ方、食べ方の順序には立派な理論がある。
(1)汁物を口にすることにより、唾液の分泌を促す。唾液の中には、糖質を分泌する酵素がある。この酵素の影響を受けながらよくかむことにより消化吸収がよくなり、満腹感も早くに得られるので肥満予防にもつながる。
(2)胃液の分泌がよくなったところで、たん白質の供給源である主菜を食べると、胃液中にはたん白質の分解酵素があるので、ご飯の時と同様なことになる。
(3)それから副菜。副菜はビタミン・ミネラル・食物繊維の供給源なので、代謝をよくし、さらに消化吸収を高めて、からだに不必要なものは体外に出す。
 この食卓のマナーは実に合理的だったのである。

食卓は家族相互のコミュニケーションの場
 21世紀の健康づくりのなかに、「食卓は家族そろって、家庭の味、手作りの味を大切に」とある。
 まさに食卓は家族のコミュニケーションの場であり、家族相互の健康確認の場でもある。
 また、主食、汁もの、主菜、副菜、デザートなどの食器を揃え、並べ、先述の順序で食べることは、自然に栄養バランスがとれ、偏食を防げる。
 ひいては生活習慣病の予防にもなるといっても過言ではない。


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プロフィール
落合敏
(おちあい とし)
栄養学博士。千葉大学講師、茨城キリスト教大学教授などを経て、現在NHP OCHIAI Office代表。「おもいッきりテレビ」をはじめメディアに出演多数。2000年~2004年の4年間、実母を介護した経験をもとに、介護者の視点に立ったお年寄りの食事に関する書籍や介護日誌をまとめたものを上梓。
栄養学博士 落合敏の栄養学研究所 http://www.nhp-ochiai.jp/
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