食べ合わせには理由がある
高齢者の骨折は寝たきりの原因になることが少なくない。
骨をつくる主な成分であるカルシウムは一般成人の体内に約1kgあり、そのうちの99%は骨や歯をつくり、そこに蓄えられている(貯蔵カルシウム)。残りの1%は血液中にあり、神経や筋肉のコントロール、血液の凝固、ホルモンの分泌などに大きな役割を果たしている。
しかし、日本人のカルシウム平均摂取量は過去20年間、一度も1日600mgの所要量を満たしたことがない。特に女性は、出産や閉経によって骨粗鬆症になりやすいので、若いうちから不足のないよう、また、運動によってカルシウムの貯蔵庫である骨を太く・硬くしておくという予防が大切である。
カルシウムは牛乳や乳製品(ヨーグルト、チーズ)、小魚、緑黄色野菜、大豆製品、海藻、ごまなどに多く含まれているが、体内への吸収率が悪い。牛乳や乳製品では50~60%、小魚では約30%、他の食品では20%以下である。
吸収率を高めるためには、吸収を高めてくれる栄養素ビタミンDやクエン酸などと一緒にとることが必要である。ビタミンDは魚や干ししいたけに多く、クエン酸は酢や果物に多く含まれる。
一方、リンや食物繊維、シュウ酸、フィチン酸などの過剰摂取はカルシウムの吸収を悪くする。過剰のリンは、品質改良剤などの添加物に多い。シュウ酸はほうれん草などに多いが、茹でれば減少する。フィチン酸は豆や穀類に多い。食物繊維は普通の食事だと過剰にはならないが、サプリメントによる摂り過ぎには注意が必要である。
特にカルシウム:リンの摂取比率が大切で、1に対し、リンは1~2までが適切とされている。
カルシウムの摂取量は所要量を上回っているのに、カルシウム不足状態の人が多いといわれているのは、カルシウムとリンの摂取バランスが悪いことを示している。
したがって、日常の食生活において、インスタント食品やサプリメントの摂り方に対し注意したい。
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