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落合敏の「介護は楽しみながら」

夏野菜はサビないからだをつくる!

 夏の代表的野菜といえば、だれもがすぐに思い浮かぶのが、トマト、キュウリ、ナス。店頭にはハウスものが1年中出回っているが、旬はやっぱり夏。いずれの野菜も夏にその力を発揮する。そしておいしい。
 紫外線の最も強い夏は、有害な活性酸素が体にどんどん増え、過酸化脂質という脂肪のサビをつくり、これが万病のもととなる。
 有害な活性酸素を除去する働き(抗酸化力)のあるのが、鮮やかな色素の濃い夏野菜に多い。

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 特にトマトは、抗酸化力の高いビタミンCやビタミンAが豊富なうえ、リコピンという赤い色素がさらに抗酸化力を高めてくれるので、夏の健康維持に欠かせない。
 ナスもトマトと同様、皮に多く含まれる紫色の天然色素アントシアニンは、抗酸化力が強い。また、その果肉はスポンジのような働きをして油分を吸収するが、食べるときにはしつこさを感じさせないという特徴がある。これは、抗酸化力のあるビタミンEの豊富な植物油をとるうえで欠かせない。ビタミンEは、天然色素と同様、強い抗酸化力があり、悪性腫瘍(がん)をはじめ生活習慣病の予防にも必要とされている。
 栄養面で不足のあるナスは、こうして間接的に他の成分を摂取する手助けをしてくれるので、夏バテ予防の点でも貴重な食材である。
 きゅうりは95%が水分。皮が緑色であるが、そのわりにはビタミンは少ない。ところが、皮の苦い部分には、ククルビタミンという抗酸化成分がある。
 汗によって失われる水分補給と紫外線の害を防ぐためにも、皮ごと生で味噌などをつけてかじってほしい夏野菜である。
 また、尿をつくる成分イソクエルシトリンとカリウムを多く含むため、利尿効果を高めてくれる。体のむくみをとるうえでもきゅうりはよい。特に夏は、汗を大量にかきカリウムが失われがちなので、夏バテ予防のうえからもおすすめ。
 しかし、アスコルピナーゼというビタミンCを破壊する酵素も含まれているので、調理の際には注意が必要である。たとえば、ビタミンCを多く含む野菜と一緒に食べる場合は、酢の入ったドレッシングをかけたり、和風の酢のものなどにするとよい。酢がアスコルピナーゼの働きを抑えるからである。


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プロフィール
落合敏
(おちあい とし)
栄養学博士。千葉大学講師、茨城キリスト教大学教授などを経て、現在NHP OCHIAI Office代表。「おもいッきりテレビ」をはじめメディアに出演多数。2000年~2004年の4年間、実母を介護した経験をもとに、介護者の視点に立ったお年寄りの食事に関する書籍や介護日誌をまとめたものを上梓。
栄養学博士 落合敏の栄養学研究所 http://www.nhp-ochiai.jp/
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