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落合敏の「介護は楽しみながら」

食欲がないときの食事のポイント

 一般に、胃の粘膜は加齢にともない萎縮して、胃液、塩酸、ペプシンなどの分泌量が低下するので、とかく食欲不振になりがちである。
 食欲がないときの食事の基本は、比較的消化のよい糖質性食品を主とし、食品は鮮度のよいものを選び、煮る・蒸すなど消化のよい調理の工夫が大切である。
 また、胡椒、ショウガ、ニンニクなどスパイスや、梅干し、果物の酸味のある食品を利用し、味は全体的に薄味にして酢の料理を多くし、胃液の分泌を高め、食用増進を図りたい。

 たとえば、食欲がないときでも、味噌汁とお粥だけは用意する。味噌汁の香ばしい匂いは、脳の食欲中枢を刺激して食欲をかき立てる。味噌汁のたんぱく質は、発行によってアミノ酸に分解されているために、非常に消化・吸収されやすいという特徴をもっている。
 また、発酵食品である味噌には、乳酸菌なども含まれているので、整腸作用もあり、運動不足から来る便秘の予防や解消にも役立つ。
 

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 パン食が好きな方には、チーズトーストをお勧めしたい。十分にかめなくても、とろけたチーズが咀嚼を助けてくれる。また飲み込みやすく、良質のたんぱく質やカルシウムも摂れる。
 一方、だれにでも好物はあるはず。好きな食べ物が栄養のないものであっても、とにかく食べる気をおこさせるために、それを出してみることも大切。

 さらに、食事は食べないけれど、おやつなら食べられるという場合は、おやつだけにしてしまってもよい。この場合、少量でエネルギーが高いものを選ぶようにする。
 例えば、甘くて口当たりのよいプリンやゼリー、アイスクリーム、ミルクセーキなどは、食欲がないときでも食べやすい。また、たんぱく質の補給もできるカステラやスポンジケーキなどもよい。
 その他、茹でかぼちゃ、にんじん、ホウレンソウなどの緑黄色野菜を裏ごしして、小麦粉に混ぜたカップケーキとか、煮豆やいも類を入れた蒸しパンなども、手軽で好まれる。

 和菓子党には、小豆やきな粉などの栄養価の高いものを、のどごしのよい白玉粉やくず粉と合わせた「ゆで小豆入りフルーツ白玉」「白玉の黒みつ&きな粉がけ」などはいかが。眠った状態の胃腸を目覚めさせ、食欲増進のきっかけづくりとなる。


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プロフィール
落合敏
(おちあい とし)
栄養学博士。千葉大学講師、茨城キリスト教大学教授などを経て、現在NHP OCHIAI Office代表。「おもいッきりテレビ」をはじめメディアに出演多数。2000年~2004年の4年間、実母を介護した経験をもとに、介護者の視点に立ったお年寄りの食事に関する書籍や介護日誌をまとめたものを上梓。
栄養学博士 落合敏の栄養学研究所 http://www.nhp-ochiai.jp/
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