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落合敏の「介護は楽しみながら」

モズの巣・タカの巣 

 夏休みが近づくと、介護福祉士などの養成をする大学では、必須科目の学外実習の準備に追われる。
 とくに老人ホームをはじめ、高齢者福祉施設に生徒を一定期間お願いする場合、その施設の方針に添うよう、「学外実習心得」を授業に繰り入れ、「あいさつ」の仕方から指導する。
 “あ”は「愛情をこめて」、“い”は「いつも」、“さ”は「先に」、“つ”は「常に」。
 つまり、あいさつは、「常に先にいつも愛情をこめて」を基本に、相手に敬意を表すること。とくに高齢者には、大きな声でにこやかに。
 また、身だしなみもエチケットの一つとして相手に好感をもっていただけるように…。
 「茶髪でモズの巣のような髪型」は、どうかなぁ!?…と。

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 そんなある日、一般的な「茶髪でモズの巣」型ではなく、黒髪を頭の中央に逆立てて髪油で逆毛をきれいにまとめ上げている○○君から、「先生、これならいいか?」との質問があった。
 私は一瞬びっくりし、思わず、「それ鷹の巣? 立派ねぇ」と言ったら、「先生、鷹の巣みたことあるのか?」という質問がかえってきた。

 「みたことないわよ。鷹の巣はね、人間が容易に近づくことのできない絶壁や樹上に巣をつくるので、その巣の中には宝物が隠されているのではという俗説もあるくらいなの。
 私が母のお供で、新潟県北部にある某温泉に行った時、対岸に鷹の巣山という山がそびえていて、シンプルでとてもきれいだったわよ。
 今度その鷹の巣山に、巣を見つけに行ってみようかなぁ。宝物もあるかどうかも…何時になるかわからないが、見つかったら○○君に一番先に報告するね」と答えた。

 彼は、熱心に話を聞きながら立ち去ろうとしないので、さらに話を続けた。

 「鷹にはいろいろ種類があるけど、どのグループの鷹も軽快に大空高く飛び、その羽は風を生む力があるので生命の象徴にもたとえられたり、一方では容姿に威厳があるので鳥の王様ともいわれているのよ。
 ○○君の頭もそこだけみていると威厳があって人の目を引くかもしれないけれど、全身のバランスに気をつかったらもっともっと魅力的になるかもね。期待しているわ」

 数日後、○○君は、見違えるように変身していた。


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プロフィール
落合敏
(おちあい とし)
栄養学博士。千葉大学講師、茨城キリスト教大学教授などを経て、現在NHP OCHIAI Office代表。「おもいッきりテレビ」をはじめメディアに出演多数。2000年~2004年の4年間、実母を介護した経験をもとに、介護者の視点に立ったお年寄りの食事に関する書籍や介護日誌をまとめたものを上梓。
栄養学博士 落合敏の栄養学研究所 http://www.nhp-ochiai.jp/
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