母フジさんの介護日誌
介護日誌は私が留守をするときにヘルパーさんに伝えたいことを書き留めた「連絡ノート」としても大いに役立った。
また、逆に、ヘルパーさんからの連絡事項が記入されているので、主治医も身体状態や病気の早期判断に大いに利用した。
例えば、「食事介助でベッドを起こした時、フジさんの腰がうまく折れないときがあります。そうすると、体に圧力がかかり苦しくなったり、骨折の不安も起こります。体を起こしときは上半身を少し前に起こしてあげると、圧力が分散して楽な姿勢がとれると思いますのでそのようにして下さい」ヘルパー○○。
こうして、それぞれがアイデアを出し、工夫を重ねることによって、介護の技術が上がってゆく。
一方、記録の中で欠かせないのが、天候、室温、湿度である。季節にもよるが、とくに湿度は重要で、できるだけ60%くらいになるように心がけた。湿度が低すぎると肌が乾燥し、褥瘡(じょくそう)などになりかねない。
ヘルパーさんから伺ったのだが、おとしよりの介護でよく経験するのは、布団などの寝具を上げ下げするときに、パーッと白い粉が舞い上がることがあるらしい。それはほこりではなく、多くはおとしよりの肌がこすれてできたカスや垢だとか…。
「フジさんの場合、そういう白い粉を見ませんから、普段からよほど丁寧に介護してらっしゃるんだなと思っていたんですよ」と誉められて嬉しくなったが、その話を聞いて湿度管理の重要性を再認識した。
食事記録の中でとくに注意すべきは、残食量のチェックと水分摂取量である。この不足が続くと便秘や発熱などの引き金になることが多い。
また、感染症になった前後の食事記録でも、「水分摂取量にもうちょっと注意すればよかった」と反省することが多かった。
今でも時々読み返してみると、介護をしていたときの心情が甦ることが多く、母と娘の絆の強さを再認識し、心暖まる。
※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。