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落合敏の「介護は楽しみながら」

みんな美肌宣言

 私が母の介護で特に気をつけたのは、褥瘡(床ずれ)をつくらない、便秘をさせない、尿路感染症にさせない、の3点。長く床に伏せっていると、体重による圧迫が長時間皮膚に加わり、皮膚組織を酸素不足と栄養不足が起きる。その結果、褥瘡になると言われている。つまり、褥瘡は栄養不良の状態である。日頃から、消化吸収のしやすい「高タンパク・高ビタミン・高ミネラル」食と水分を十分補給することが大切である。

 こうした食事は、おとしよりだけでなく、介護する人にも必要なもの。特に、皮膚細胞を守ることは、感染症予防にもつながる。

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 特に、皮膚細胞を守ることは感染症予防にもつながる。そのためには、日頃からタンパク質の供給源として、以下のものを摂りたい。
*卵
*青背の魚類
*牡蠣
*レバー
*うなぎ
 ビタミン・ミネラルの供給源としては、以下のものをまんべんなく摂ることが理想的である。
*にんじん、かぼちゃ、ブロッコリー、ホウレンソウなどの緑黄色野菜
*アーモンド、ピーナッツなどの種実類
*果物

 一方、消化しにくい油も、“内”と“外”から十分摂ることで褥瘡を防ぎ、美肌を守ることができる。
 母の美肌の維持には、グレープシードオイルを毎日利用した。
 グレープシードオイルは、ぶどうの種からとった油で、きれいなグリーンがかった白ワインのようであり、油には珍しく水になじみ、サラッとした感じが特徴的である。
 食べ方は「生で食べる」のが適する。たとえば、味噌汁に1~2滴入れたり、スライスした生のトマトにふりかける。トマトの赤い色は「リコピン」という抗酸化の脂溶性の天然色素で、油といっしょに摂ると吸収が高まり、抗酸化の相乗効果が期待できる。
 そのほか、ごはんを炊くときはグレープシードオイルを、お米1カップに対し小さじ1杯プラスすると、つやが出て味もよく、新米のように炊きあがる。

 また“外”からの利用として、「スキンオイル」としても利用できる。母の週2回の入浴後には、グレープシードオイルにレモンの絞り汁と蜂蜜を加え、全身に塗り軽くマッサージ。その後蒸したタオルで押さえ、タオルが冷めた頃たたき拭きし、たっぷりの化粧水で肌を引き締める。言ってみれば、「落合流エステ」である。

 母の肌が乾燥もせずしっとり輝き、「娘さんより肌がきれい」と言われたのは、このエステのせいかも!? 私も実行したいが、なかなかできないのが実情である。


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プロフィール
落合敏
(おちあい とし)
栄養学博士。千葉大学講師、茨城キリスト教大学教授などを経て、現在NHP OCHIAI Office代表。「おもいッきりテレビ」をはじめメディアに出演多数。2000年~2004年の4年間、実母を介護した経験をもとに、介護者の視点に立ったお年寄りの食事に関する書籍や介護日誌をまとめたものを上梓。
栄養学博士 落合敏の栄養学研究所 http://www.nhp-ochiai.jp/
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