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落合敏の「介護は楽しみながら」 2008年05月

記録は宝の山

 子どもとは、無邪気でかつ勝手なもので、親に育てられたときの記憶があまり残っていない。
 ところが、親の子育て日記をみると、親がいかに自分を大切に育ててくれたかがわかる。病気で苦しんでいたとき、進路で悩んでいたとき、いちばんあたたかい愛情を注いでくれたのは母親であった。
 子どもを育てるのはたいへんでも、親は子どもから日々楽しみを得ている。「子育ては自分の生きがい、子どもさえ元気でいれば何も要らない」とは母の口癖だった。

 子育てをしなかった私にとっては、母の介護が点から授かった貴重な時間と考え、「介護は楽しみながら、子育てのように」すれば、きっと介護した日々が後ですばらしい思い出になるのではないか、そしてその日々を残しておきたいと、記録を綴り始めた。
 4年間で11冊、まさに宝の山である。



みんな美肌宣言

 私が母の介護で特に気をつけたのは、褥瘡(床ずれ)をつくらない、便秘をさせない、尿路感染症にさせない、の3点。長く床に伏せっていると、体重による圧迫が長時間皮膚に加わり、皮膚組織を酸素不足と栄養不足が起きる。その結果、褥瘡になると言われている。つまり、褥瘡は栄養不良の状態である。日頃から、消化吸収のしやすい「高タンパク・高ビタミン・高ミネラル」食と水分を十分補給することが大切である。

 こうした食事は、おとしよりだけでなく、介護する人にも必要なもの。特に、皮膚細胞を守ることは、感染症予防にもつながる。



護送車みたい!?

 まだ母が比較的元気だった頃、デイサービス(通所介護)のお誘いを受けた。
 そこである日、母と弟と私の3人で、どんなところか1日見学体験に行った。
 郊外の田んぼのなかに突如、広くて豪華な建物が見えてきた。初めて見るわが町のデイサービスセンターである。
 母は、「まるでおとぎの国の建物みたいね。どんな人がいるのかしら、と、早くも興味津々。

 顔見知りの介護士さんたちに迎えられ、施設のなかを見学した。
 当時、デイサービスといえば送迎専用のバスで施設に通い、集団レクリエーションで一日過ごし、昼食や入浴サービスが受けられるところと思っていたが、その辺りの設備は申し分なかった。
 ところが、母はといえば。



会話がごちそう

 精神科の和田秀樹先生の著書『いつまでも若さを保つ生き方』(PHP研究所)によると、若々しさを保つためには、笑いを生活のなかに取り込んでいくことも一つである、とデータを示しながら「笑い」の必要性を説いている。
 この本はとても説得力があり、何よりもまずおもしろい。

 かつて母が不満に訴えたのは、「今日は会話が少なくて、笑えることが何もなかったわ」であった。昼間ヘルパーさんたちが忙しく、会話が十分弾むことなく過ぎ、私の帰りも遅くなったときがそう言われることが多い。



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プロフィール
落合敏
(おちあい とし)
栄養学博士。千葉大学講師、茨城キリスト教大学教授などを経て、現在NHP OCHIAI Office代表。「おもいッきりテレビ」をはじめメディアに出演多数。2000年~2004年の4年間、実母を介護した経験をもとに、介護者の視点に立ったお年寄りの食事に関する書籍や介護日誌をまとめたものを上梓。
栄養学博士 落合敏の栄養学研究所 http://www.nhp-ochiai.jp/
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