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野田明宏の「俺流オトコの介護」

訪問看護ステーション紙ふうせんに同行して

 6月7日・8日と訪問看護ステーションに密着した。1000カットほどは撮ったように思う。保存したのは600枚弱。
 お世話になったのは、訪問看護ステーション紙ふうせん(以下、紙ふうせん)。       
 岡山市中心部のほぼど真ん中にあると考えてもらって良い。ビル群からは少し距離はあるけれど、車で移動を前提ならこの距離は無視できる。
 さて、オレがなぜ? 紙ふうせんで2日間を密着することになったかを簡単に記せば、
 「野田さん、断片的に見てもらっても訪問看護ステーションが置かれている現況は分かってもらえないと思います。だから、2日間、一緒に動いてくれるなら歓迎しますよ」
 紙ふうせん管理者である玉置君江さんから、凛とした口調で提案されたことからこのミッションは動くこととなった。玉置さんを紹介してくれたのは、以前に取材で知り合った、紙ふうせんの利用者さんからだった。
 オレは紙ふうせんを訪ねた。
 あとになって玉置さんから、
 「野田さん、第一印象が悪かったからなあ!」
 そうなのだ。オレは、どうも介・看護職の事務所や現場である職場を訪ねたとき、好印象を持ってもらえない。それはオレも分かる。敢えてそうしてる自分がいることをオレ自身が気づいているのだから。なにか、反抗的? 敵対的? に振る舞ってしまう幼いオレがいる。なんだろう? これは。単に、アホなのか?
 で、玉置さんの言う“訪問看護ステーションが置かれている現況”とは、マンパワーが極めて不足している、ということ。募集広告を何度打っても、応募者は皆無。電話での問い合わせさえもない、とも。なので、最近は募集広告も積極的には打たない。職安もアウト。
 で、問い掛けられた。
 「野田さん、なぜだと思います?」
 結局、この問い掛けの回答を見つけ出すための2日間だった。
 2日間で4件のお宅を訪ねた。4件。これは玉置さんが管理者であるが故に、他作業、事務やら新規の利用者さんの調整等々の仕事が重なっているからで、他職員の訪問は一日4~5件ほどが平均らしい。
 しかし、各家々をお邪魔させてもらうのは楽しい。本当に、その利用者さんの歴史がシッカリと刻印されているかのように、それぞれのお宅に味がる。自然と、失礼極まりないのだが、左右上下、首を一捻り二捻り。オレの視線はキョロキョロとする。心、ワクワクもする。
 強く想う。
 「最期は、ここで逝きたいよなあ!」
 更に思う。
 「口チャック(守秘義務の徹底)」
 想う&思うは微妙に異なることを付け加える。
 そこで、先の、マンパワー不足の“なぜ?”へのオレなりの視点。
 4件同行して、4件それぞれに独特の味わいがあった。オレからすれば、どこも強烈なスパイス。そのスパイスは個々で異なる。だから、4件全てに、臨機応変が必要となる。一様ではないのだ。だから、マニュアルなど論外。4件が4件の強い個性を放散させているのだから。
 病院ならスタッフも大勢いて、際どい、判断に戸惑うときは上司に判断を委ねることもできる。しかし、訪問看護は個と個で成り立っており、看護師はその場での決断を迫られる。やりがいは大きい。が故に、ストレスも半端ではないはず。
 もちろん、帰ステーションして上司や同僚に相談する。しかし、現場にいるときは、他看護師も現場で動いている。現場では、己の力量と決断が全て利用者さんへの善し悪しに繋がる。密室でもある。この辺りに、なぜ? の回答の断片があるような気がしてならない。
 もっとも、2日間で理解できるわけもない。そんな器量がオレにあるわけがない。難しい課題を抱えての取材だったけれど、基本的には楽しくも充実した2日間だった。
 せっかくなので、これからも時々、一緒に同行させてもらうことにした。第一印象の悪さは打破できたようなので?\(^O^)/
 そう。長くお付き合いしないと、信頼は得られない。
 以下に、写真15枚を貼り付ける。蚊取り線香の写真もあるけれど、微細な所・環境に気配りしなければならない。
 訪問看護。この仕事、まずはコミュニケーションありき。心が通わなければ出来ない仕事であることだけは2日間で納得した。失言か? 出来ないことはないだろうが、良い仕事はできないはず。
 もちろん、利用者さんにとってだ。訪問看護師を待ちに待ち、言葉・心の温もりを感じたい利用者さんも多いのだから。いや、バイタルや治療よりも、独居の方は特に、孤独・孤立感から瞬時だけでも解放してあげることが一番の使命かもしれない。そして安心を授けることが。
 正に、人間と人間が真っ向から向き合う最前線なのだ。
 写真の女性が、紙ふうせん管理者である玉置君江さん。年齢不詳? ですね。
 それと、各写真に詳細は記さない。読者方々の想像力にお任せとなります。

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コメント


野田さま

充実ですね。
いろいろ事情もあるのでしょうが、
他写真も見たい
これが本音です。
蚊取り線香。
そんな季節が来ましたか。
風流 ですね。


投稿者: 熊夫 | 2011年06月17日 10:07

熊夫さま

そうなんですよ。
いろいろ事情があるのです。
いつか、発表できる段取りで事は運んでますが、
今直ぐ となると?

蚊取り線香。
香りもなかなか風流でした。
私、100本? 100巻?
缶入りで購入いたしました(^。^)


投稿者: 野田明宏 | 2011年06月18日 11:29

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
野田明宏
(のだ あきひろ)
フリーライター。1956年生まれ。約50カ国をバックパックを背負って旅する。その後、グアテマラを中心に中央アメリカに約2年間滞在。内戦下のエルサルバドルでは、政府軍のパトロールにも同行取材等etc。2002年、母親の介護をきっかけに、老人介護を中心に執筆活動を開始。2010年現在、83歳になる母と二人暮らしで在宅介護を続ける。主な著書は『アルツハイマーの母をよろしく』『アルツハイマー在宅介護最前線』(以上、ミネルヴァ書房)など多数。『月刊ケアマネジメント』(環境新聞社)にて、「僕らはみんな生きている」連載中。
http://www.noda-akihiro.net/
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