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野田明宏の「俺流オトコの介護」

おりもの

 介護の形態も様々だけれど、息子が母を介護するとき、なんとも言葉にしずらいことがある。相談しようにも、照れくさいというか? オトコとしてはどんな顔をしてそれを表現して良いか戸惑うのだ。
 もちろん、オレは卒業はした。だけど、それにしても、やっとのことでつい最近のことだ。
 単刀直入にエイヤッと
 “おりもの”
 この言葉。この語彙が、長年の間、口にできずにいた。過去、母の介護についてはアチコチに書いてきたけど、“おりもの”をテーマにするのは初めてのことだ。
 パンツにしても陰部洗浄にしても、こんなことはアッケラカンのカーンで文面にしてきたのだけれど。母のパンツを、今は亡き? 岡山駅前のダイエーに中年面下げて購入しに出向いたことも今となっては懐かしい思い出だ。

 さて“おりもの”だ。
 母は、かなり以前から尿路感染している。今も現在進行形だ。尿取りパッドが黒ずむことがある。出血しているのだ。もちろん微量。パッド交換しているとき、ドロッと陰部からヨーグルトのような液が流れでることもある。
 とはいえ、治療のための抗生物質は使用していない。何度も書いてきたけれど、オシッコで菌を流す。限界はあるのだけれど。
 でだ。
 「野田さん。和子さん、“おりもの”に出血があるようです」
 デイサービス職員から報告を受ける。
 「仕方ないなあ! あまり薬に頼るのも良くないし」
 最近は平然と答えることができる。
 母が歩けていた頃にも度々あった。その頃は出血はなく、
 「息子さん、和子さん最近“おりもの”が目立つんです」
 「そうですかー?」
 平然としていることを装う。心は乱れ、脈は倍速状態。

 で、まあ、なぜ真っ正面から“おりもの”という単語がオレの口から発っせられなかったのだろう?
 まず、オトコとして“おりもの”とは無縁であったから。オレ自身が、なにかの拍子で耳にしたとき、それはオドロオドロシイようにも想像した。
 母の介護を通じて“おりもの”を目にし、介護職員等と“おりもの”にフォーカスをあてて話し合うようになったのだが、どうにもオレの方から手立てを積極的に口にすることはない。正直、全く分からない。知識もないから知恵も湧かない。
 知人の女性から、
 「女性同士でも“おりもの”について語ることは抵抗ありますよ」
 こんなアドバイスも頂戴した。
 
 結局、では、なぜオレが今、この“おりもの”という言葉を口にし、照れもそこそこ消えたか?
 慣れ。母の“おりもの”を処理することでオレ個人、内心の抵抗はまず消えた。そして、この言葉を希に発し、その発する言葉数が増えていく度に違和感もオドロオドロしさからも解放されたように思う。
 どうにも上手くまとまらないのだけれど、男性介護者が声にしテーマとして掲げるには難題だったのかもしれない。
 ただ、口にしにくい言葉を口にできないで、病が進行したなどと後悔することだけは避けなければならない。
 こんなフレーズがあったなあ! 
 オトコは辛いよ。
 
 午前9時過ぎ デイサービス出陣前にして

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コメント


野田さま

昨日 今日 と暑すぎますねー。
今回のブログ、野田さんの心の熱さを感じます。
ある意味、タブーへの挑戦。
コメントするのもチャレンジですよ。
イメージはできるけど、言葉や文面にするのは難しい。
そして、恥ずかしい が正直なところですね。
でも、大事な問いかけだと思います。


投稿者: 熊夫 | 2011年06月24日 12:29

熊夫さま

毎度のコメントありがとうございます。
おりもの
文字だと、案外すんなりですが、
いざ、口にするとなると、
やはり、なかなかですね。


投稿者: 野田明宏 | 2011年06月25日 09:52

野田さん、お疲れ様です。
わたしも、母の入院中の尿路感染症、膀胱炎による高熱に苦労しました。一度かかるとクセになるとかも言われますが、クセになるというよりは原因を完全に取り除くことが難しいからなんでしょう。

ところで、〝おりもの〟はどんな健康な女性にもあるもので、それ自体はまったく問題ないのですが、それに出血が混じっていたり、変わった色がついていたり、大量だったりするならば、膣炎になっているかもしれません。老人性膣炎というのがあり、本来は自身の自浄・殺菌作用で守られているものが、老年になってその機能が衰えて、炎症を起こしてしまう。
痛みのある場合もあり、不快なものです。

気になるようでしたら検査と治療を受けてみたほうがいいかも、です。本人が不快を訴えられないだけでなく、不快の軽減も報告できないのだから、なかなか対処が難しいとは思いますが……。


投稿者: サワ | 2011年06月28日 22:40

サワさま

詳細に、ありがとうございます。
実は、今も尿路感染はあります。
ただ、抗生薬は使用しない
ということで事を運んでおります。
今日、帰宅してからも薄い出血が付着していました。
もう、黒ずんでますね。
いざ というときに抗生薬の効き目を と医師は考えているのかもしれません。
オシッコが大量に出たときは、見事なまでにキレイな色、透明色ですけれど。
でも、臭いはキツイです。
もう2年以上になると思います。
まあ、これはこれ で良し
と考えています。


投稿者: 野田明宏 | 2011年06月29日 22:11

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
野田明宏
(のだ あきひろ)
フリーライター。1956年生まれ。約50カ国をバックパックを背負って旅する。その後、グアテマラを中心に中央アメリカに約2年間滞在。内戦下のエルサルバドルでは、政府軍のパトロールにも同行取材等etc。2002年、母親の介護をきっかけに、老人介護を中心に執筆活動を開始。2010年現在、83歳になる母と二人暮らしで在宅介護を続ける。主な著書は『アルツハイマーの母をよろしく』『アルツハイマー在宅介護最前線』(以上、ミネルヴァ書房)など多数。『月刊ケアマネジメント』(環境新聞社)にて、「僕らはみんな生きている」連載中。
http://www.noda-akihiro.net/
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