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野田明宏の「俺流オトコの介護」

藤川幸之助さん

 藤川幸之助氏の講演に出向いてきた。
 2月24日木曜日。講演会場は姫路。
 “平成22年度 第2回 姫路市社会福祉協議会公開研修”
 姫路市民会館第6会議室。大会場ではなく、かといって小さな会議室というわけでもなく、ほどほどの空間があり定員100名の会場としては快適空間だった。
 オレ1人で参加したわけではない。懇意にしている介護関係者も2人。計3人だった。オレたちは前から2列目。右斜め上に藤川氏を見る位置に陣取った。距離にして4メートル弱ほどか? 
 “満月の夜、母を施設に置いて”で藤川氏を強く認知し、“まなざしかいご”についてのオレなりの書評は昨年8月3日にこの場で触れた。
 藤川幸之助という人物へのオレなりのイメージはあった。それは、この2冊の本から感じ取ったものだった。
 “まじめ” “優しい” “知的” “良識人”
 こんなところがイメージとしての藤川幸之助であり、そう思い込んでいた。
 藤川氏が会場へ到着。なにやら笑顔を振りまいている。愛想が良い。主催者である姫路市社協の方々であろう人たちと名刺交換してる姿は、稲穂を想像させられた。頭が低いのだ。正に、
 実るほど頭を垂れる稲穂かな
 オレの脳が震度2程度に揺れる。オレの推察とは違う人物像が脳裏に浮き上がってきたからだ。
 そうこうしているうちに開演時間も迫る。藤川氏もアチコチへと忙しそうだ。トイレも済ませておく必要があるだろう。
 そんな最中、オレの横を通り過ぎようとする藤川氏が方向転換して
 「野田さんじゃないですか?」
 基本的にはオレから挨拶しなければならないのに不覚を取った。けあサポ編集者から、オレが講演を聞きに行くことを伝えてもらっていたのだ。
 「だから、それで?」
 でも変ではない。オレからすれば格違い。
 ところが、いきなり声掛けされたオレは直立。
 「どうも!」
 なんて言うのが精一杯。真正面1メートルも離れていない距離に藤川氏の満願の笑顔があるのだから。オレが抱いていた藤川幸之助のイメージが完全に弾けた。
 瞬時に感じた。
 近い! と。
 そうなのだ。市井の人。藤川幸之助は身近な庶民であるのだ。
 ここから、感覚的に“藤川幸之助氏”から“藤川幸之助さん”へと、親近感が以前のイメージを駆逐することとなった。 
 藤川さんの講演内容についても認めなければならない。
 
 タイトルは
 支える側が支えられるとき
 サブタイトルは
 ~認知症の母が教えてくれたこと~

講演開始
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 講演時間は13時半から15時半の2時間。途中休憩なしのぶっつづけではあったが、2時間という時空間はアッという間の高速で過ぎ去った。本当に速かった。
 つまり、安易な表現かもしれないが面白かったのだ。それも、極めて。
 確かに、藤川さんの話した内容は深く重い。悲痛でもある。
 藤川さんが語り、CDからはプロのアナウンサーが朗読する詩が流れもする。藤川さん本人の詩の朗読もある。充実。オレ的には、藤川さんの朗読より、やはりCDから流れるプロが語る朗読に目頭熱くさせられた。これは致し方ないところだ。

まなざしかいご 朗読中
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 藤川さんは喋る。間髪入れないほどにマシンガントーク。一生懸命が伝わってくる。オレたちを舐めたりはしていない。
 そこにいた藤川さんは、評論家ではなく、詩人でもなく、一人の認知症の母を介護する一介護者だった。だから、自ずからチカラも入るのだろう。説得力は重厚だ。

語りかける
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 良い話はイッパイあった。だから触れない。触れると、この原稿の終わりが見えなくなるから。

ご両親
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 とはいえ、オレが、これは良いなあ! こうでないとなあ!
 と感心したのは、お母さん、お父さんの写真を取り込んでいることだった。
 お母さん。見る側からは、お母さんの厳しい写真もあった。
 藤川さんにはお兄さんが一人いるのだが、
 「お母さんのことは幸之助に頼む」
 と遺言を残されたお父さんの写真も画面に現れた。藤川さんがお母さんを看るまではお父さんが介護されていたとのこと。九州男の子。やりますなあ!
 父や母の介護。重く、哀しく、辛く語るのは難しいことではない。オレもそこそこ講演してるから。でも、
 「ああ楽しかった。もう一度でも二度でも聞きたいなあ!」
 と後味に残る語りは希だ。
 改めて記す。けっして軽くない。だけど、笑えるのだ。ストレス発散にもなる。
 まとめ。
 藤川幸之助とは?
 生活感溢れ、印税の額が気になりつつも気さくで楽しい介護実践者。
 
 一度、煮込みなどを肴に一緒に呑めたらなあ!

とても気さくな方でありました 岡山軍団と
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講演後 著書へのサインも和やかに 印税も気に掛かることと\(^O^)/
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ナイスであります
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コメント


◆野田さん、こんにちは。講演会に来ていただきありがとうございます。ブログへの感想や返事は、野田さんに直接メールを書けばいいのですが、野田さんのブログを読んでいる読者の皆さんへも野田さんの人となりというか野田さんの感触をお伝えしたいと思い、ここに、コメントすることにしました。
◆野田さんと講演会の前に握手をしました。野田さんの手は柔らかく、温かく、その感触が私の心に直接響きました。ブログの文もお母さんとの写真も、その手の感触とおなじように温かく、柔らかく、温かい。自然体で人間味にあふれて柔らかい野田さんの存在に向かい合うと、何か私が忘れていたものを思い出させてくれるような感覚になります。それが何かは分かりませんが、野田さんの柔らかく、まっすぐな生き様にはとても心が揺れます。
◆それから、写真家というのは、かくも写真の中に「人」の内面を引き出すものだと感心します。私のような「ノンナイスガイ」が、それなりにかっちょよく写るんですから。
◆それから最後に、二人で並んだ写真はとても気に入りました。普段はヒールで通っている私が、野田さんと並んで写真に写るとべビーフェイスに見えるんですからです。何よりも嬉しい一枚です。では、心より感謝しています。これからも、ブログを楽しみに読ませていただきます。
◆べビーフェイス・藤川幸之助


投稿者: 藤川幸之助 | 2011年03月01日 15:58

藤川幸之助さま

藤川さんと共通の友人である、編集部のM子ちゃんか
ら
「藤川さんからのコメントをアップしたので早く読んでー」


とのメールが入り、読んでる最中に母がデイサービスから帰宅。
帰宅してまず一番にすることは、尿取りパッドの交換です。


実は、今回の記事。偉そうですが藤川幸之助論では、講演内容で本当にイッパイ、ものすごく共感できることがあり書きたいこと天こ盛りでありました。


例えば、

さっきパッド交換と記しましたが、
替えてる最中、母の体位が斜めから横向きになったとき、尿が漏れはじめること頻繁なのです。
その時点でパッドは外してますからオムツが吸収します。つまり、オムツとパッドの両方を交換することになります。


これ、結構キツイんですよね。


「出るー」


との言葉があれば、そのまま替えないで放置しておき、出し切ったことを確認してパッド交換すれば、とてもナイスなのです。


オトコは、キッチリとやりますからね\(^O^)/


母などは、キッチリとパッドもオムツも填められて肌に筋が入ります。


とはいえ、言葉が出たとしたら?


母の混乱期。私はショートステイへ母と一緒に見学に行きました。混乱期ですから、私も混乱の極み。手を上げてしまうことも度々でした。


ショートステイの部屋は個室。四畳半ほどでしたがキレイでした。
見学後、担当看護師が傍にいて、私は母に問いました。


「和ちゃん、ここに四・五日お泊まりしてくれる?」
 
 母は、私の腕をギュッと掴んで、強い まなざし を向けて


「わたしゃなあ、あんた(私ですが、もう息子とは認知してませんでした)に叩かれても一緒にいたいんじゃ」


今はショートステイも利用していますが、母の介護を始めて7年間ほどは、毎晩一緒に、傍で寝ていました。
あの言葉がなければ、私は、そのままショートに託したと思います。


言葉。


とても重いです。


もっとも、母は言葉を失いましたが、クシャミ 欠伸 放屁などで、して欲しいことを伝達してくれます。


男子トイレでの体験談。身振り手振り。写真にシッカリ収めたかったのですが、皆さん、とても まなざし が熱心なので動きがとれませんでした。

まだまだ甘いです。

さて、藤川さんからのコメントを拝読し、正直、


「オレはそんな人間じゃないんだよ」


と、恥ずかしくなり赤面いたしました。
本当は今夕、休肝日で酒を呑まない日だったのですが、今、その酒を呑みながら、これを記しています。
呑みながらでないと書けない。

とはいえ、藤川さんからの声はとても嬉しく、もう少し呑んでもいいのでは? などと模索しはじめた私がおります。

さて、藤川さんとのツーショット。
お恵さん。櫻木が撮ったのですが、M子ちゃんから薦められたGRⅢでパチリンコ。

たぶん、ニュートラルあたりに設定してるのだと思いますが、私が撮ったのより自然ですね。

櫻木、もしかしたら昇天してしまうかもしれません。

まだ、いろいろ書きたいこと山々ですが、ここら辺りでと思います。

今後とも、ひとつヨロシクお願いします。

ありがとうございました。


投稿者: ヒールフェイス野田明宏 | 2011年03月01日 18:32

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
野田明宏
(のだ あきひろ)
フリーライター。1956年生まれ。約50カ国をバックパックを背負って旅する。その後、グアテマラを中心に中央アメリカに約2年間滞在。内戦下のエルサルバドルでは、政府軍のパトロールにも同行取材等etc。2002年、母親の介護をきっかけに、老人介護を中心に執筆活動を開始。2010年現在、83歳になる母と二人暮らしで在宅介護を続ける。主な著書は『アルツハイマーの母をよろしく』『アルツハイマー在宅介護最前線』(以上、ミネルヴァ書房)など多数。『月刊ケアマネジメント』(環境新聞社)にて、「僕らはみんな生きている」連載中。
http://www.noda-akihiro.net/
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